負動産時代 日本には土地を「捨てる」制度が存在しない。ただでも買い手がつかないような土地を運悪く抱えてしまうと、売ることも捨てることもできず、管理コストや固定資産税の負担だけが残る「負動産化」が進む。ドイツでは、土地は捨てることができると法律に明記されているという。土地を捨てられる制度はどう運用されているのか。現地を訪ねた。 独東部ドレスデン中心部の工業地帯。鉄道沿いの国道を少し入ったところに、コンクリート5階建ての廃虚があった。窓ガラスがところどころ割れ、建物の背後には広大な敷地が広がっていた。敷地面積は約1万5千平方メートル。旧東ドイツ時代には薬品工場として使われていたが、その後、捨てられたという。 ドイツの民法には「所有者が放棄の意思を土地登記所に表示し、土地登記簿に登記されることによって、放棄することができる」(928条1項)と明記されている。放棄された土地をまず先占する権利は「州
最高裁が、15人の最高裁裁判官向けに用意してきた宿舎の削減を進めている。この10年間で4戸を廃止したが、自宅からの通勤が認められていることもあり、残る11戸は全て空き家。公務員宿舎全体の削減に合わせる形で、さらに3戸を廃止する予定だ。 最高裁によると、最高裁裁判官向けの宿舎は「職務の重要性や特殊性」を考慮し、15人全員の入居を前提に整備されていた。しかし、政府の方針を踏まえて1999年以降は自宅からの通勤を認めており、入居者が減少。長官をのぞけば、この10年では最大7人が入居した時期もあったが、大阪弁護士会出身の木内道祥・最高裁判事(70)が1月に定年退官して宿舎からも退去したのを最後に現在は入居者がいない。 国有財産台帳などによると、現在ある11戸はいずれも、世田谷区や目黒区など東京23区内の一等地にある。築40年前後の一戸建て8戸と1棟3戸の集合宿舎があり、各戸とも延べ200平方メート
鹿沼市は24日、農地つきの空き家を市内の中山間地で買う際の農地面積の下限要件を、従来の30アールから1アールに引き下げると発表した。本格的な農業ではなく家庭菜園を楽しみたい移住希望者にPRし、定住者増加と遊休農地解消を目指す。 市によると、10アール未満への要件緩和は2月末現在で全国に66市町村。県内では鹿沼市が初めてだという。 農地を買うには農業委員会の許可が必要。鹿沼市では、人口減少や遊休農地化が激しい市北西部の中山間地8地区で2011年に、耕作面積の下限要件を50アールから30アールに緩和した。それでも効果が薄く、市は1月に農業委員会へ引き下げを要望し、委員会が22日に緩和を決めた。 対象は、市の「空き家バンク…
スポンジの穴のように空き家や空き地が都市内に散在していく「都市のスポンジ化」。その対応策を盛り込んだ都市再生特別措置法等の一部を改正する法律(以下、改正法)が、今国会で可決・成立した。行政や民間はどのような役割分担の下で何ができるようになるのか――。対応策を検討してきた国土交通省の委員会で委員を務める首都大学東京教授の饗庭伸氏に聞いた。 ――対応策の中身に入る前にまず、「都市のスポンジ化」とは何か、あらためて教えてください。いまでこそ都市計画の分野では当たり前のように使われる言葉ですが、饗庭さんが最初にお使いになったと認識しています。 確かに、2015年に花伝社から出版した著書「都市をたたむ」の中で使っていますが、都市計画の世界ですでに何人かの方が指摘されていたことをそう記しただけです。言葉を広めるのには多少貢献したのでしょうが。 このスポンジ化の前提には、日本の都市では、土地が細かく分か
ファミリーマートは、Airbnb(エアビーアンドビー)との業務提携を2018年5月21日に発表した。Airbnbは空き家・空き部屋の提供者を募り、旅行者に貸し出す民泊の仲介を行っている。 依然成長を続けるインバウンド需要 提携により両社は、(1)鍵の受け渡しサービスのような、ファミマ店舗を活用したAirbnbのサービス向上、(2)店舗および各種メディアを使ったプロモーション活動、(3)さまざまな業種の企業とのコラボレーションによる、宿泊施設提供者および宿泊者の宿泊事業活用のサービス向上、(4)地域に根ざした宿泊普及拠点としてのファミマ店舗インフラの活用、を検討する。 発表資料によると今回の業務提携は、依然成長を続けるインバウンド需要を背景に、訪日外国人へのさらなる利便性と旅の楽しさの提供を目的としている。日常生活に不可欠な商品やサービスを展開するファミマと、世界的に民泊事業で実績のあるAi
負動産時代 マンションの老朽化が進んでいるのに、オーナーたちの同意を得られずに修繕も取り壊しもままならない――。そんな「負動産マンション」が日本の都市郊外などで目立ち始めている。フランスでは、行政が介入してマンションを建て替え、同時に住民の生活改善にも取り組む動きがあるという。パリ郊外のサンドニを記者が訪ねた。 1998年のサッカー・ワールドカップ(W杯)決勝。ジダン選手の活躍で地元フランス代表チームがブラジルを下し、初優勝を飾ったスタジアム「スタッド・ド・フランス」がこのサンドニにある。2015年には、130人の死者を出したパリ同時多発テロの発生場所の一つになった。テロの実行犯が潜伏した街としても知られる。 栄光と苦難の歴史を併せ持つサンドニの市街地に足を踏み入れると、窓ガラスが割れるなど老朽化したマンションやアパートが立ち並んでいた。自治体の調査では、住宅の4割が「住居に適しない」と認
自民党の所有者不明土地などに関する特命委員会(委員長・野田毅元自治相)は23日、所有者不明土地の活用に向けた提言案をまとめた。所有者に土地の適切な利用や管理の責任を課し、難しい場合は所有権の放棄を認めて団体などが管理を担う仕組みを検討すべきだと明記した。相続時の登記の義務化などの検討も盛り込んだ。近く菅義偉官房長官に申し入れる。所有者のわからない土地を
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