三重県御浜町沖で横転、座礁し、解体されたフェリー「ありあけ」(7910トン)の船体の一部が、現場から南に7キロ離れた同県紀宝町沖で、多数の魚が群れる漁礁となっている。 漁礁として活用されているのは船首の底部で、長さ5・5メートル、高さ4メートル。同町の鵜殿港から沖合1・5キロ、水深約30メートルの海底に、ひっくり返した状態で設置されている。藻に覆われているものの、うっすらと元の赤い塗装が残る。ネンブツダイやアジの大群が何重にもなってこの漁礁を囲み、内部には、高級魚のクエが数匹泳いでいた。 「ありあけ」の座礁で漁場は被害を受け、同町の紀南漁協では一時、イセエビの漁獲高が3分の1まで落ち込むなどした。同漁協の佐田美知夫組合長(69)は「漁礁には思っていた以上に魚がたくさん集まっている。この魚を狙って大きな魚も寄って来て、海が豊かになる。漁礁にしてよかった」と話した。 ◇ フェリー「ありあけ」は