大風呂敷を拡げる人、というのがいます。拡げるだけ拡げて畳むことをしない、いや、そもそもそんな畳むなんてことを考えないから拡げられるというのもあるらしい。 凡庸通俗普通の人たちは小心翼々、そうそう自分の生きている世間の間尺をうっかり越えるようなことをしないように気をつけているし、ものの言い方にしても半径身の丈にちょっとした背伸びくらいでとどめおくのが習い性、それが「常識」の基礎になり、また「無難」な世渡りの骨組みにもなっているのですが、そんなもの知ったことか、とばかりに「常識」や「無難」を軽々とすっ飛ばしたことを言い、またやってのけたりする人もたまにいる。どんな世間にも、いる。というか、いました、少し前までは必ず。 先日逝去した梅原猛なんて御仁はその代表格、その仕事を振り返ってみてもまさしく極めつきの大風呂敷を拡げ続け、そしてそれが時代の風、時の勢いなどをいっぱいにはらんで中空高く舞い上がっ