吾輩(わがはい)はサーバルである。名前はまだない。 どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。サバンナ地方からやってきたサーバルということだけは諳(そら)んじることができる。なんでもサンドスターというもののせいで時々我々のような種族が生まれるという。我々というのは四足(よつあし)で地を駆け翼で飛翔し海を自在に泳ぐ類(たぐい)の記憶を持ちながら、両(りょう)の足で直立し指のある手を使って饅頭(まんじゅう)を食べて生きている種族のことで、フレンズと自称しているが河馬に聞いたので間違いはない。 木の上で微睡(まどろ)んでいた時のことである。私は初めて奇妙な種族を見た。両の耳はあるが天邊(てんぺん)を向いた耳がない。かといって羽があるわけでも鱗を持つわけでもない。その後色んなフレンズにもだいぶ会ったがこの様な片輪(かたわ)には一度も出くわしたことがない。のみならず大きな鞄(かばん)を背負っている。己が何