新型の豚インフルエンザの国内での流行がピークに近づき、肺炎を併発した高齢者らが重症化するのを防ぐ「肺炎球菌ワクチン」に注文が殺到、ほぼ品切れの状態となっている。知名度が低く、これまで医療機関が接種を呼びかけても反応は鈍かったが、新型インフルへの不安が需要をかき立てた形だ。 国立感染症研究所によると、肺炎球菌はごくありふれた細菌で、健常者が体内に取り込んでも症状は出ない。だが、インフルエンザなどで抵抗力が低下した高齢者や乳幼児の場合は、肺炎を起こしやすくなる。肺炎の原因の3割が肺炎球菌とみられる。 成人向けワクチンの国内唯一の販売元の万有製薬(東京)によると、ワクチンはすべて親会社の米製薬大手メルクから輸入。08年の国内供給量は約27万人分で、季節性インフルワクチンの推定使用量(07年度約2260万本)に比べ圧倒的に少なかった。 ところが、8月に国内で新型インフル感染者が肺炎で死亡した