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ブックマーク / www.wound-treatment.jp (2)

  • 新しい創傷治療:リスターはなぜ創感染率を下げられたのか?

    次のような質問を受けた。 「外傷の消毒は不要」「消毒しても感染予防にはならない」と言うが,19世紀の半ば,手術創を消毒する事で感染率を劇的に下げたと言う事実と矛盾するのではないか? もっともな疑問だと思う。この「消毒による術後敗血症の克服」の経緯については,かの名著『外科の夜明け』に詳しく書かれていて,私も何度も取り上げている。産婦人科医のゼンメルワイスが分娩の前に消毒薬で手を洗っただけで産褥熱が劇的に減少し,リスターが手術創や外傷の創を消毒薬の石炭酸で処置し,術後の敗血症による死亡が劇的に下がったのは紛れもない事実である。確かにこれだけ見ると,私の主張と矛盾しているように見える。 『外科の夜明け』を素直に読めば,「傷を消毒する事で感染率が下がった」となるはずだ。だが,事実はそれほど単純ではない。 消毒薬として石炭酸は決して強力なものではなく,むしろ非力な消毒薬剤に過ぎない。だから現在,石

  • 破傷風と消毒

    「傷は消毒しない方がいいというのはわかったが,破傷風の存在を忘れているのではないか。破傷風の事を考えたら,やはり消毒は必要ではないか」このような質問を時々いただくので,それへの回答を書く事にする。 まず破傷風についての基礎知識については次のサイトで十分だろう・・・というか,これだけ知っていたら専門家でしょうね。 http://idsc.nih.go.jp/kansen/k02_g1/k02_15/k02_15.html 要するに破傷風は,破傷風菌が体内に入って神経毒素を産生し,強直性痙攣を引き起こし,呼吸障害を起こすなどして死に至る疾患である。現在,国内では年間30~50例が発症し,死亡率は20%~50%と極めて高い。一旦発症してしまったら筋痙攣に対する対処療法を行なうしかなく,受傷直後に破傷風ヒト免疫グロブリンを投与するのが最も効果的である。 破傷風菌は土壌中に存在する嫌気性菌であり,通

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