大規模なアンケート調査の結果、日本人に共通する望ましい死のあり方のひとつに「体や心の辛さが和らげられていること」があることが示されている。では、体の辛さを和らげるためには、どのような医療行為が選択可能なのだろう。医療行為として非常に身近な点滴の終末期における意味を考えてみたい。 「終末期のがん患者さんにとって、点滴はすればする程、元気になるというものではありません。逆に、苦痛を増強してしまう場合があります」と語るのは、聖隷三方原病院緩和支持治療科の森田達也氏。 森田氏は、「経口で食事や水分が取れなくなった場合、点滴が必要になると考える方も多いと思います。しかし、点滴という一見、非常に無害そうな医療行為も、場合によっては悪いことを生じることを、知っておくといいのではないでしょうか」という。 点滴の弊害は、がんの末期などで体のなかの細胞が水分を取り込めない状態(がん性悪液質)で生じやすい。体そ