混浴と日本史 [著]下川耿史 古代から現代までの「混浴」の歴史を、文献にあたって詳しく解き明かしたのが本書だ。温泉の絵はがきなど、混浴を楽しむ人々の図版も多数掲載。 古来、日本では混浴が基本なのだそうだ。火山列島で、河原や海辺を掘れば湯が湧く土地もあるのだから、そりゃあ老若男女関係なく、とりあえずみんなで湯に浸(つ)かろうか、ということになるなと納得する。入浴は庶民の娯楽であり日常だった。 もちろん、のんびり入浴してる場合じゃない事態に発展することもあった。古代では「歌垣(うたがき)」といって、たとえばきれいな泉のほとりで宴会をし、気に入った相手と仲良くなりもしたという。江戸時代には、「湯女(ゆな)」という性的サービスをする女性がいるお風呂屋さんもあった。 また、寺や権力者が、庶民に風呂を振る舞いもした。それによって功徳を積むためでもあったし、福利厚生を充実させて民衆からの支持を得ようとい
「山月記」はなぜ国民教材となったのか [著]佐野幹 戦後高校に通ったほとんどの者が中島敦「山月記」を教材に国語の授業を受けた。教科書の最多掲載回数を誇り「国民教材」とまで呼ばれるそうだ。しかし教員である著者は、授業をしつつ「ふと、今、自分が何をしているのか分からなくなる瞬間」があるという。その違和感を追い、1951年以降の203の教科書や、教師用「学習の手引き」を精査、時代ごとに作品がどう教えられてきたか炙(あぶ)り出す。 80年代に高校教育を受けた評者の記憶では、「李徴が虎になった理由」を問われ「人間性の欠如」を一つの解として与えられた。これは、主題の読解を目的とした教授法として一時代を築き、同時に大いに批判に晒(さら)されたものであるという。確かに本来の「古譚(こたん)」4作品の一つとして「山月記」を読めば唐突な解釈だ。それなのに教育現場で受け入れられた理由は……。 教育とは何か、教科
忘却のしかた、記憶のしかた 日本・アメリカ・戦争 著者:ジョン・W.ダワー 出版社:岩波書店 ジャンル:歴史・地理・民俗 忘却のしかた、記憶のしかた―日本、アメリカ、戦争 [著]ジョン・W・ダワー 本書は、著者の主要な仕事のエッセンスを、自身による解題を付して、年代順に配列したものである。「ダワー入門」と呼んでもよい本だ。内容的にいえば、マッカーシズムの時期に自殺に追い込まれたカナダの日本学者E・H・ノーマンについての論考から始まり、イラク戦争に際して米国当局が、かつて“成功”した日本占領の体験をモデルにしようとしたことに対する痛烈な批判にいたる。 著者の『敗北を抱きしめて』は、占領下の日本社会について包括的に書かれた最良の書である。この本は米国でピュリツァー賞を受けたが、イラク戦争で日本占領経験を引き合いに出した当局がこれを読んだはずがない。著者の考えでは、イラクは日本と似ていない。むし
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——韓流の始まりは、李順載(イ・スンジェ)氏が出演した「愛ってなんだろう」が中国で放送された1997年と見ている。その間、大きな変化があったのでは。いいこともあったが、気になる部分も多い。 ▲李順載〓「花よりおじいさん」の撮影のため、スイスに行ったが、そこに来ていた中国や台湾の観光客が我々に気付いたこともある。最近、ドラマ制作の発表会には、若者スターの日本ファンらが詰め掛けてくる。かつては無かった変化だ。ところが、わがドラマは質的にも発展したのか疑問だ。いわば「とんでもない物語」が飛び交い、日本の漫画やドラマをコピーしたものが多い。逆流現象が起きているのだ。 ▲劉震龍〓先日、韓国の放送通信委員長ともいえる中国光電総局長に会った。韓国ドラマが中国で引き続き善戦するためには、共感できるだけの「価値」があるべきだと強調した。その上、今のような刺激的ドラマでは困るという話をした。韓流がここでつまず
先日、本誌では「佐賀大学美術館オープン 大学と芸術の関係に新たな風を」と題して、各大学における美術館の特徴的な試みを特集した。 このニュースに関連した動きとして、立命館大学では今月末より「目・耳・WAR – 総動員体制と戦意高揚」なる特別展が開催される。公式webサイトによれば、展示品は「国語全解運動」のプロパガンダポスターや、コロムビアから発売された「進軍の歌」/「露営の歌」のレコードなどといった視聴覚に訴えかける戦時中の宣伝題材である。開催趣旨は以下の通り。 戦時中の日本では、国民の戦意を高揚させるために、どのような政策が実施されたのでしょうか。 本展では、ミュージアム所蔵資料を中心にポスターやチラシ、軍歌を収録したSPレコード、双六やカルタといった玩具等を紹介し、総動員体制下における視覚・聴覚をはじめとした「感性の総動員体制」に関する展示を開催します。 この展示を通じて人々が、どのよ
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