盗賊のインド史―帝国・国家・無法者 [著]竹中千春[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)[掲載]2011年1月23日著者:竹中 千春 出版社:有志舎 価格:¥ 2,730 ■近代国家の本質を逆照射する 『女盗賊プーラン』という本を覚えているだろうか。1997年に日本語訳が出版されると、現代インド女性の自伝としては異例のロングセラーとなり、話題となった。 プーラン・デーヴィーは、幼児婚・年上の夫からの暴力を経た上、誘拐される。犯人は盗賊団の首領。彼女は強姦(ごうかん)され、愛人とされた。しかし、盗賊団の一員が彼女に思いを寄せ、首領を殺害。彼女を連れて逃げ出す。そして別の盗賊団を形成すると、彼女自身がリーダーとして君臨するようになる。 本書はプーランに象徴されるインドの「盗賊」に注目し、武装化する「周縁化された人々」を追う。そして、その社会的位置づけの歴史的変化を
◇国民軍に志願、出征 不安を詠んだ短歌も 日本で生まれ育ち、戦中・戦後にインド独立運動に身を投じたインド人女学生の日記が本になった。「インド国民軍婦人部隊」に志願するなど祖国解放に懸けた熱い思いがつづられ、激動の時代を生きたみずみずしい感性を伝えている。【木村葉子】 日記は、バーラティ・アシャ・チョードリさん(83)が1943~46年に日本語で記した。アシャさんが在籍した昭和女子大(東京都世田谷区)が創立90周年事業で「アシャの日記」としてまとめた。 アシャさんの父親は貿易商で、戦前から日本に滞在。インド独立運動の指導者チャンドラ・ボース氏の側近だった。アシャさんは神戸で生まれ、小学校卒業後に上京、昭和女子大の前身・日本女子高等学院付属女学校などで学んだ。 当時のインドは英国の領有下で、旧日本軍はボース氏ら独立運動家と結び、英国に対抗。「インド国民軍」が結成され、日印の部隊がインパール作戦
21日からインドを訪問する安倍首相が、40年前に行われた極東国際軍事裁判(東京裁判)の判事11人のうち、A級戦犯全員の無罪を主張した唯一の人物である、故ラダ・ビノード・パール氏の遺族と会う計画であることが明らかになった。これは安倍首相の強い意向で決定したことだという。 1946-48年に行われた東京裁判では、太平洋戦争を引き起こした東条英機元首相ら、戦犯被告人25人すべてに実刑が宣告され、東条ら7人には絞首刑が下された。だがパール判事は当時、「(戦争犯罪に対する裁判は)見かけ上は法にのっとったものとなっているが、本質的には報復のためのもの」と主張した。さらにパール判事は1967年に死去するまで4回日本を訪問し、「日本が(戦争)犯罪を起こしたとし、幼い子どもたちにゆがんだ罪の意識を植え付けるべきではない」と語った。そして日本では昭和天皇が1966年、パール判事に勲一等瑞宝章を授与している。
日本人で初めてチベットに入った人物は誰か。河口慧海(えかい)(一八六六― 一九四五年)の名がよく挙げられるが、それより先に実現した二人の日本人がいた。能海寛(のうみゆたか)(一八六八― 一九〇一?)と寺本婉雅(えんが)(一八七二― 一九四〇)という浄土真宗大谷派の僧である。その二人が日本に持ち帰った仏典などを紹介する大谷大学博物館(京都市北区)の企画展は、歴史に埋もれた二人の再評価を促しそうだ。(武藤邦生) 能海寛ら僧侶の軌跡 能海は島根県浜田市の寺に生まれた。東本願寺で得度し、慶応義塾、哲学館(現・東洋大)などで学んだ。 チベットへと目を見開かせたのが、英・オックスフォード大でも仏教研究をした南條文雄(ぶんゆう)だった。当時のチベットは、周辺からの侵攻にさらされるなど情勢が不安定で、旅には大きな危険を伴ったが、南條から仏教研究の方法論などを学んだ能海は、仏典を求めてチベット行きを決意。
バングラ独立と池袋西口公園(下) 2006年10月15日05時50分 / 提供:PJ 写真拡大 左)バングラデシュでショヒド・ミナールはあらゆるところで見ることが出来る。テクナフで。右)池袋西口公園におくられたショヒド・ミナール。5月20日撮影。(撮影:山本宏樹) 【PJ 2006年10月15日】− ショヒド・ミナール (上)からのつづき。ダッカ大学の構内には有名なモニュメントがある。1952年2月21日、言語運動の最中、ダッカ大学の医学部前の広場でデモ行進があった。パキスタン政府軍は学生たちに銃口を向け発砲。4人の命が奪われた。4人の死は言語運動が更に加速する要因となる。 政府はこの場が運動の中心地になることを恐れ、この場にモスクを建築するも、この事件を契機に言語運動は知識層の運動から全国規模への大衆運動へと拡大することになる。バングラデシュ独立後、モスクは破壊され、追悼碑「ショヒド
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