ローカル線を運行する中部の中小鉄道二十六社が、当面は全ての路線を廃止せず維持し、バスなど他の交通機関への転換も考えていないことが本紙の調査で分かった。沿線人口の減少で利用が低迷し、新型コロナウイルス禍が経営を一層圧迫する中、存続に向けてもがく「地域の足」の姿が浮き彫りになった。 ローカル線を巡っては、国土交通省が二月に有識者検討会を設け、抜本的な改革案の議論を進めている。四月の会合で国交省は、複数の鉄道会社がバスなどへの転換の検討が必要と考えていることを明かしたが、社名は公表していない。 本紙は、国交省が「地域鉄道事業者」と定義する愛知、岐阜、三重、長野、滋賀、福井、石川、富山の八県の中小鉄道にアンケートを実施。輸送人員ベースで最大の愛知環状鉄道から、最小の明知鉄道(岐阜県)まで全社が「全線で鉄道を維持する」と回答した。全線や路線の一部の廃止、バスなどへの転換を検討している社はゼロだった。