写真は2005年度のグッドデザイン大賞を受賞したテルモ株式会社の「インスリン用注射針」。従来型の注射針よりも20%細い、簡単に言えば「痛くない注射針」である。もちろん細くすればその分、液の通りも(本来ならば)悪くなるわけで、それを見事技術的にクリアしたすばらしいプロダクトだ。注射が大の苦手な私としては、日常的にインスリン注射をしなければならない友人がいることもあり、この注射針のグッドデザイン賞大賞受賞は個人的にも大賛成だった。…が、世間では「それはデザインと言えるのか?」「それはテクノロジーの功績であってデザインではない」といった意見も見られた。果たして、痛くない注射針はグッドデザインと言えるのだろうか? ではそもそも、デザインとは何だろう。 この問いに答えるのは難しい。無駄なものをそぎ落としシンプルにする行為のことか。美的感覚をくすぐる意匠を作り上げることか。使い勝手を第一に考えてモノの