「ムサシ機関」の元機関長・平城弘通氏=東京都新宿区、豊間根功智撮影 冷戦期に米軍と共同で情報収集活動に当たった自衛隊の元情報機関長が、朝日新聞の取材に応じ、国内外で行っていた諜報(ちょうほう)活動や創設の経緯などを明らかにした。民間人になりすまし、旧ソ連や中国などの共産圏諸国に出入りする人々から軍事情報を聞き出すのが主な活動だったという。同機関の存在は、金大中氏拉致事件などにからんで注目されたことがあるが、直接の責任者が証言するのは初めて。 明らかにしたのは、陸軍士官学校出身で、陸上自衛隊の情報部門で長く旧ソ連担当を務めた元陸将補の平城(ひらじょう)弘通さん(89)。現在は東京都内で不動産業を営んでいる。 1964年から2年間、情報収集の実動部隊だった「陸幕第2部特別勤務班(別班)」の班長(2佐職)を務めた。陸幕第2部が公刊情報の収集や電波傍受を行っていたことは防衛省も認めているが、