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  • 第9回:『渋滞学』西成活裕 - 「あれも、これも」

    今回はast15さんの指定。渋滞学 (新潮選書)作者: 西成活裕出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/09/21メディア: 単行購入: 7人 クリック: 98回この商品を含むブログ (146件) を見る 面白かった!車の渋滞のみならず、人、アリ、情報……などが、スムーズに移動できずに滞ってしまう現象を解明していく「渋滞」に関するオムニバス。 一番面白かったのは第3章「人の渋滞」。人間が多数集まると、自由が抑制されて単純な鼓動しかとれなくなる。もしその集まりが「共通の関心や注意を引く対象にむかって特定の場所に集まった諸個人の一時的、偶発的な集団状態」となれば「群集」であり、群集の状態は動因によって3つに分類される。興味対象への直接行動には訴えず、受動的関心から集まっているものを会衆、強い感情状態に支配され、敵対する対象に直接暴力的に働きかける「モッブ」、そして収拾しがたい混乱に陥

    chigui
    chigui 2012/12/28
    なむさんの読んで、自分のあの読後感の原因が明瞭になった。てか自分の見方・思考に齟齬あるっぽい/面白いのに、同時に興趣を削がれてた。実用性がことに強調されることで。でもこれちょっとオカシイかも…うーむ。
  • 第八回:『東インド会社とアジアの海』羽田正 - 「あれも、これも」

    東インド会社とアジアの海 (興亡の世界史)作者: 羽田正出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/12/18メディア: 単行購入: 2人 クリック: 32回この商品を含むブログ (23件) を見る うーん、とにかく懐かしかった。指定は赤亀さん(id:chigui)。 東インド会社から歴史を語る。といっても視座は固定されておらず、イギリス、フランス、オランダの東インド会社、あるいは中国、インド、日など、多角的となっている。ということもあって、ちょっとついていけなかった。というのも、それぞれはなかなか面白いのだけれど、勉強の嫌いな僕は高校生のときにまともに授業なんて受けていなかった。そのため世界史・日史の大まかな流れすらわかっていない。大きな流れを追うことも楽しいのは、知って入るものの、どうにも面倒になってしまって、個々の魅力的なエピソードのみを、部分部分で知識としてある程度。だから

    chigui
    chigui 2012/10/31
    不慣れ・不得手な分野に対してそういう感触・印象を得られたのなら実際御の字!だと思う。>歴史を読み直すことの面白さは感じた。/こちらこそ毎度冗長文で相済いません。
  • 第七回:『エンジン・サマー』ジョン・クロウリー 大森望訳(再読) - 「あれも、これも」

    過去に読んだことのあるをセレクトすることに抵抗を覚えつつも、『ヴァギナ 女性器の文化史』『メモリー・ウォール』に接続できるを考えたとき、真っ先に『エンジン・サマー』が思い浮かび、季節が夏であることもあり、このを指定しました。エンジン・サマー (扶桑社ミステリー)作者: ジョンクロウリー,John Crowley,大森望出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2008/11メディア: 文庫購入: 37人 クリック: 229回この商品を含むブログ (101件) を見る 現代の僕たちが暮らす文明の延長線上にある未来の文明が滅び、その文明を生き延びた人たちの子孫が暮らしている世界がこの小説の舞台。つまり僕らの未来の世界の、さらにまた未来ということ。さて、どうしてこのをセレクトしたのか。 『ヴァギナ 女性器の文化史』は文化人類学的な解釈を多用しただった。僕は文化人類学に神話の解釈をする学問とい

    chigui
    chigui 2012/09/09
    あー…もともと夏って季節がはじめから思い出にされてるというか。>でも小春日和…まさに夏だと思うんですよね。/言っちゃった(笑)>ストーリーはそんなに魅力的じゃないと思う
  • EXTRA:『贈与論』マルセル・モース 吉田禎吾、江川純一訳 - 「あれも、これも」

    今まで伴読部で読んできたなかで、浮かび上がってきた『贈与論』を、誰が指定するでもなく、読んでみようということになりました。というわけで今回はEXTRAです。贈与論 (ちくま学芸文庫)作者: マルセルモース,Marcel Mauss,吉田禎吾,江川純一出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2009/02メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 43回この商品を含むブログ (57件) を見る 『贈与論』は、何年も何年も、何度も何度も読み切ろうと挑戦しては読み切ることなく投げ出してきた。その度に、いろいろな人の感想を読んで、一体なにが面白いのか参考にしようとしたけれど、自分で理解しているつもりのことが書いてあるだけで、面白味を感じさせることが無い。こんなに名著と、古典と言われているんだから、面白いところ書いて欲しいんだけど、なんでこんなに面白そうだと思わせる感想がネットにないんだろう…? シ

    chigui
    chigui 2012/07/30
    注がね、当時の文化人類学には必要だったんだろうと思う一方で、鬱陶しい(笑)ただ、本論にあまり関係ないけど、しばしば出てくる、とくに南洋諸島の語感が楽しい。「キラウエア」とか「パホイホイ」といった響き。
  • 第六回:『メモリー・ウォール』アンソニー・ドーア 岩本正恵訳 - 「あれも、これも」

    指定はast15さん。メモリー・ウォール (新潮クレスト・ブックス)作者: アンソニードーア,Anthony Doerr,岩正恵出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/10メディア: 単行購入: 2人 クリック: 36回この商品を含むブログ (18件) を見る アンソニー・ドーアの記憶にまつわる6つの物語を収めた作品集。「記憶がなければ、われわれは何者でもない」というルイス・ブニュエル『わが最後のため息』と引用されているが、記憶は僕たちの生そのものなのかもしれない。もちろんそれは失われた記憶も含めて、あるいは記憶が失われてしまうことも含めて。 表題作「メモリー・ウォール」は近未来SF小説のようだ。認知症を患い記憶を失くしつつある老婆アルマは、遠隔記憶刺激装置によって、記憶の断片を抽出しカードリッジに保存している。カードリッジを再生することで記憶を取り戻し、忘却の進行をい止める治

    chigui
    chigui 2012/06/25
    アルマは…なむさんの見たままだと思う。たぶん、著者自身がアルマ(ないし記憶というもの)を描き切れなかった。だからあとの短篇が生まれてきた、「来世」に至ってエスターという人物が現れたんじゃないかと。
  • 第五回:『ヴァギナ 女性器の文化史』キャサリン・ブラックリッジ 藤田真利子訳 - 「あれも、これも」

    ヴァギナ 女性器の文化史作者: キャサリン・ブラックリッジ,藤田真利子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2005/12/16メディア: 単行購入: 3人 クリック: 627回この商品を含むブログ (33件) を見る ショッキングなタイトルと装丁だ。よく「薄目にするとモザイクがとれる」と聴くが、薄目にせずともこの装丁がヴァギナだということがわかる。 いまぼくは「ショッキング」と書いた。たぶん多くのひとが「ヴァギナ」という言葉に少なからず抵抗を覚えると思う。あるいは試しにいま「ちんこ」と呟いてみる。そのあとに「まんこ」と言ってみよう。「ちんこ」よりも「まんこ」のほうが、セクシャルな、下品な響きを持っているように感じてしまう。それは一体どうしてだろう?この抵抗感は相応しいものなのだろうか? 赤亀さん指定による第五回『ヴァギナ 女性器の文化史』は、このようなタブー感のある「ヴァギナ」を、

    chigui
    chigui 2012/05/21
    言い得て妙>ちんこを出した露出狂に、一種の笑いを見いだせるのに、まんこをさらけ出した女性からは狂気を感じる/ヴァギナの存在感はすごい。もしかしたらそれがペニスと違って茶化せない理由でもあるのなのかも。
  • 第四回:『貨幣論』岩井克人 - 「あれも、これも」

    貨幣論 (ちくま学芸文庫)作者: 岩井克人出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1998/03メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 41回この商品を含むブログ (42件) を見る  大学に入学して二年目まで、大学にほとんど行かず、部屋で煙草を吸いながら、を読んだりアニメを観たりして、ぼけーっと過ごしていた。大学に行かなかった(たぶん最も小さな)理由のひとつは、経済学部でありながら経済学にまったく興味を持てずにいたこと。経済学に対する一般的な印象――お金のことを扱う(卑しい)もの――持っていて、絶対にソリが合わないと思っていた。そんなものを知りたいなんて思えなかった。実は同じような話が小説にも当てはまる。小説を読み始めた頃、評論は小説の大切なものを失わせてしまうと思っていた。だから評論にまったく興味が持てなかった。しかし、小説を読んでいるうちにだんだんと評論にも手を伸ばすようになった。

    chigui
    chigui 2012/04/30
    「間違った日本語」や「略語」の定着等にも通じるものがありそうな点。>第三章の貨幣系譜論は刺激があった。/知ってると発見や愉しみも増すしね!>同時にその時代性を知った上で読むことも必要だと考える。
  • 第三回:『熊から王へ』中沢新一 - 「あれも、これも」

    伴読部第三回はast15さん指定の『熊から王へ』熊から王へ カイエ・ソバージュ(2) (講談社選書メチエ)作者: 中沢新一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2002/06/10メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 2人 クリック: 20回この商品を含むブログ (44件) を見る 人類学者・中沢新一によるカイエ・ソバージュシリーズの二巻目。カイエ・ソバージョは「超越的なもの」について、神話からグローバリズムの神学的構造にいたるまで人類の考え得たことの全領域を踏破し、現代の持つ過渡的な性格を明らかにすることを目指すものらしい。この巻では、「国家」の誕生がテーマとなっている。 中沢によると「国家」が成立する以前の人間は、神話的思考によって人間(文化)と動物(自然)の対称性を実現していた。しかし文化が自然を内包すること――対称性社会の崩壊――で「国家」が成立する。非対称性社会では、文化は「野

    chigui
    chigui 2012/03/21
    「ダイナミックな物語は確かに大変魅力的であるし、神話やその分布の解釈は文化人類学の面白さだろうと再確認」しかし「肝心の「王」が発生するところでひっかかる」
  • 第二回:『埋葬』横田創 - 「あれも、これも」

    赤亀さん指定。埋葬 (想像力の文学)作者: 横田創出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/11/25メディア: 単行購入: 7人 クリック: 440回この商品を含むブログ (14件) を見る 河口湖畔のキャンプ用テントで母子の遺体が発見される。無理心中の可能性があるとみて捜査されていたが、ふたりを殺害し河口湖畔で遺棄したと供述する少年が出頭する。裁判にて少年は死刑を求刑されるが、死刑を反対する声明とともにふたりの遺体を河口湖畔まで運んだのは少年ではなく自分であるとの手記を夫が発表する。小説はこの夫の手記および事件を取材するライターによるインタビューと考察によって構成されている。 少年の自供と夫の手記はともに遺体を遺棄したと発言しており辻褄があわない。真相が隠されている。そして事件を取材する記者のインタビューに答えるひとびとの、事件あるいは殺害された田悦子についての供述から窺い知

    chigui
    chigui 2012/02/20
    「実は登場人物が口を揃えて語る本田悦子そのものに強く魅かれ、」
  • 第一回『ウンラート教授 あるいは、一暴君の末路』ハインリヒ・マン 今井敦訳 - 「あれも、これも」

    伴読部の記念すべき第一回配はハインリヒ・マン『ウンラート教授 あるいは、一暴君の末路』指定者はぼく。ウンラート教授―あるいは、一暴君の末路作者: ハインリヒマン,Heinrich Mann,今井敦出版社/メーカー: 松籟社発売日: 2007/10メディア: 単行購入: 4人 クリック: 143回この商品を含むブログ (11件) を見る あの坂金八先生が「きんぱっつぁん」という愛称ではなく「キンタマ」と蔑称で呼ばれていたらどんな教師になっていただろう。小さな町で数十年間教壇に立ち、生徒や町中に溢れる卒業生にあちらこちらでキンタマと囁かれる。に先立たれ、息子は不良。空に向かって叫んでも誰も集まってこないし胴上げもされない。堤防を歩いても自転車を商店街で駆け抜けても誰にも声をかけられないどころか後ろ指を刺される。そんな金八先生だったら、あのドラマは青春ドラマではなく、陰湿な別のものになっ

    chigui
    chigui 2012/01/16
    「そんな金八先生だったら、あのドラマは青春ドラマではなく、陰湿な別のものになっていただろう。ハインリヒ・マン『ウンラート教授』はそんな物語といえるかもしれない」
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