期待仮説 プラセボ効果を説明するための仮説として、第2回では「意味付け仮説」を、第3回では「学習仮説」を概観してきました。 今回は「期待仮説」という仮説を見ていきたいと思います。プラセボ効果を説明するための代表的な3つの仮説のうち、これが最後のものになります。 期待仮説の概要 1994年にハーバード大学で開催されたプラセボに関するシンポジウムにおいて、ある研究者が次のように述べたことがあります。 「If you don't believe in them, they don't work.*1」 ここでのthemはプラセボを指しています。つまり上記の発言は「信じなければプラセボ効果は生じない」ということを意味します。 これは「期待仮説」の内容そのものといえます。すなわち「期待仮説」とは、「『この治療には効果がきっとある』という期待(信仰)がプラセボ効果をもたらす」という考え方です。 治療に