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フミコフミオに関するchocolat81のブックマーク (108)

  • 青さ - Everything You’ve Ever Dreamed

    「じゃあ頼むよ」。僕に難題を押し付けた電話があっさり切れたのは三日前の夜。それからの眠れない夜をインスタントコーヒーで退散させ僕は車のキーを回す。ボンネットで散る陽は夏の終わりを忘れさせる強度を持っている。ただ、蝉の鳴き声のカーテンは日を経るごとに確実に薄くなっている。車を西へ走らせる。渋滞を見込んだ僕の予想は外れた。約束の時間には早く着いてしまうだろう。寄り道をすることにして高速道路を降りた。流れていく車たちは僕に気付かない。 フロントガラスのむこうに空の青。僕は夏の青い空が好きだ。吸い込まれそうな青を見上げているときの背中が伸びる感覚が好きだ。海に面した小さな町の海の見える公園で車を停めた。数年前、僕は先生のお見舞いで何回かこの町を訪れたことがある。真夏だった。不思議なことにいつも今日と同じような青い空だった。 「思ったより元気そうで安心しましたよ」「すこし太ったんじゃないですか」。バ

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  • 花参り - Everything You’ve Ever Dreamed

    お萩と牡丹の違いが僕にはよくわからない。春、秋、季節によって呼び名が変わるだけで同じもの、らしい。それなら棚から落ちてくるのがお萩ではなくて牡丹なのはなぜだろう?「たなぼた」が「たなおは」でもいいんじゃないか。そんなことを思いながら仕事帰りに和菓子屋に立ち寄り、不憫なお萩を買った。仏に供えるためだ。お彼岸。鎌倉の材木座にある寺に父は眠っている。駐車場に車を停め桶に水を汲み墓へ向かう。墓を掃除するために一足早く来ていた母の足元に広げられた新聞紙のうえには古い花が置かれていた。数の花は枯れ、名を失い、茶色く変色していた。「お父さんのお墓に来る人も減ったわねえ」と母は言った。無理もない。父が亡くなって18年になる。僕と弟が「花参り」をやめてしまってからも随分と時計はまわってしまった。 父が亡くなってしばらく経ったある日、墓を訪れた僕と弟はお供えの花が次第に減ってきていることに気がついた。そ

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  • 京都六景/親父とお寿司 - Everything You’ve Ever Dreamed

    京都の秋を三点ほど描きました。過去に描いた《秋もの》とあわせて《京都六景/秋》をご覧ください。 ※以前ブログで発表したものは画像を大きめにしてあります。 僕は自分で撮った写真をもとに絵を描くことが多い。仕事で月の半分以上を京都で過ごす父のもとを僕や家族はときどき訪れていた。その際、僕は譲ってもらったローライ35で寺や神社や街を撮っていた。 そういう、写真だ。僕は写真を眺めながら、最後に京都に行ったときのことを思い出していた。 最後に父を訪ねて京都へ行ったときのは十七才の秋だ。 一人、新幹線を降り、待ち合わせの京都駅で顔を合わすなり、父は、遠いところまで来たんだ、せっかくだからと、僕を高級寿司屋へ連れて行ってやる、一貫千円だぞ、と誘った。父は寿司が大好物だった。僕は、そんな高いモノはいい、適当な飯屋でも入ろう、それに寿司はあまり好きじゃないと断った。父は、そうか、と残念そうな声を出した。嘘だ

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  • 音信不通の弟へ - Everything You’ve Ever Dreamed

    拝啓。元気でやっているか。兄はあいかわらずのインポで面白くない日々だ。イーディーと呼ぶのがちかごろの流行りのようだが、その呼び方にはどこか気障の色があるように思え、兄は好きではない。一昨日より八戸にいる。出張だ。出張、というと、浅はかなお前はセクシャルなこの兄の顔と言動を心に浮かべ、風俗と早とちりするだろうが残念ながら仕事だ。 こちらはとても寒い。比喩ではなくインポの芯まで凍えそうだ。青森の冷気にふれ、兄はお前が好きだった古いCMを思い出した。零下の世界ではバナナも凍って固くなり釘も打てるほどであるがわが社の製品は零下でも床上手な愛人の如くトロトロジュルジュルと潤滑でごじゃるよ、というエンジンオイルのCMだ。だから兄は寂れた旅館で飯、メザシ、梅干、一夜干し、梨をたいらげ出会い系サイト閲覧に飽き(ところでホ別二という若者言葉を知っているか。ラブホテル代は別で二万円、という意味の言葉だ。この歳

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  • if - Everything You’ve Ever Dreamed

    昨夜、友人のジョーク、「生きているのがつらい、死にたい」。先日、テレビのニュース、「自殺者が12年連続で3万人を超えた」「長引く不況で経済的要因による自殺が増えている」。こういう話を耳にするたびに僕は、潰されるような息苦しいような気持ちになる。あの日のことを思い出してしまう。痛みとともに。それから、僕は、知っている人、これから知り合う人、知り合わない人、いろいろな人たちにむけて、どうか命を断つようなことはしないでほしい。もういちど考えてみてほしい。周りにいる人のことを。もし孤独なら、好きなべ物でも面白かったゲームのことでも昔みた夢でもなんでもいい、自分と繋がっているもののことを考えてみてほしい。死なないでほしい。痛みのなかで、僕は祈る。 18年前の春、父は自殺した。動機はわからなかった。遺書もなかった。前兆もなかった。と思う。そう信じたい。葬儀が終わって落ちついたころ、母が僕に「いいお父

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  • 2010-03-07 - Everything You’ve Ever Dreamed

    土曜、早朝、電話がなる。早朝や深夜の電話は不幸な知らせが多いので出来ればとりたくない。次は誰の結婚式だ。それとも、飲み代の取立てか。いやんいやん。って駄々こねていれば電話が静かになるわけでもないので、観念し、もしもし、電話をとる。声の主は、大学以来の友人、横田。夏にあったときは、携帯電話の工場で働いていたはずだ。「もう俺はだめだ。田舎に帰ることにした」、横田は言った。部屋の片付けを終え、明後日に発つ、今日会おう、僕の都合に構わず一方的に告げ、電話は切れる。僕の手のなかにある携帯電話も横田が組み立てたものかもしれない。 青森出身の横田とは大学の文芸サークルで出会った。同じ法学部法律学科。入学三ヶ月でそっち方面の才能のなさに気付き脱出路を探った僕とはちがい、横田は成績もそこそこ優秀で、卒業後も就職せずにそっち方面の勉強とアルバイトの生活を続けていた。十数年が経った。司法試験合格の知らせは届いて

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  • 続報・ブログが総務部長バレした課長がスーツを脱ぎ捨てて会社の暗部を告発するよ ふたたび - Everything You’ve Ever Dreamed

    インタビュアー(以下淫) みなさんこんばんは。「プロレタリアに会いにきて」の時間です。今週も先週(id:Delete_All:20100427)に引き続きフミコフミオさんをゲストに迎え、お話をうかがっていきたいと思います。それでは自己紹介をお願いします。 フミコフミオ(以下フミコフミオ) ども。営業部で課長やっている36才です。好きなべ物は肉まん。嫌いなべ物はあんまんです。 淫 前回は、総務部長から不正を強要された件についてお話していただきました… フミコフミオ 4月29日に総務部長がスナックのママとゴルフに行く。その代金の処理を僕に任せようとしている、営業の交際費として…という話は先週しましたよね 淫 はい。あの後、どうなったんですか。フミコさんはっきりと不正を断りましたよね フミコフミオ まあね。ロック精神に反しているからさ、そういうの(笑)。 会社から少し離れた喫茶店がフミコ氏お

    続報・ブログが総務部長バレした課長がスーツを脱ぎ捨てて会社の暗部を告発するよ ふたたび - Everything You’ve Ever Dreamed
  • ブログが総務部長にバレた課長がスーツを脱ぎ捨てて会社の暗部を告発するよ - Everything You’ve Ever Dreamed

    インタビュアー(以下淫) みなさんこんにちは「プロレタリアで好きにして」の時間です。今週も素敵なゲストをお招きしてお話をうかがっていきたいと思います。それでは自己紹介をお願いします。 フミコフミオ(以下フミコ) あ、ども。営業部で課長をやっている36才です。趣味は通帳記入です。 落ち着いた口ぶりで語るフミコフミオ氏 見た目は普通のサラリーマンと変わらない 淫 何があったか話していただけますか? フミコ 思い出すだけで気分が悪いのですが昨日総務部長から近くの喫茶店へ呼び出されたんすよ。 淫 なるほど フミコ その総務部長ってのが、ま、地味なハゲ中年なんですが、どれくらい地味かわかりやすくいうと、あれね、Jポップ(苦笑)におけるガーネット・クロウ的なポジション(苦笑)といえばいいのかな。名探偵コナンでしか曲を聴けない的なね… 淫 なるほど地味ですね フミコ で、その地味な総務部長が妙なことをい

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