いまどきの若者は、「とても」という感嘆を、「めっちゃ」という言葉であらわす。 そして「めっちゃすごい」とは「ものすごい」のことだから、「めっちゃ」とは「もの」のことである、ともいえる。 「すごい」ことに気持ちがとらわれることを、「ものすごい」という。 「もの」とは、気持ちがとらわれている状態のこと。あるいは、気持ちがとらわれる対象のこと。 「めっちゃ」だって、気持ちがつよくとらわれることの表現です。 なぜ「もの」ではなく、「めっちゃ」なのだろう。 「もの」ということばを発声するときの感慨が変質してきたからだろう。 現代では、「もの」が、心につよくまとわりついてくる対象ではなくなってきている。 まず、身体という「もの」が、とくにうっとうしい対象ではなくなってきた。文明文化が発達した社会になって、暑さ寒さや、痛みや苦しみや、空腹や、そんなものにわずらわされることが少なくなってきた。 そして、都