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  • 「ローマ人の物語」を歴史の専門家はどう評価しているのか?

    「ローマ人の物語」を10倍楽しく読む方法シリーズっ(実は続いている)。 「ローマ人」ツッコミどころ多すぎー、塩野節がイイ感じを醸しだしているんだけど、調子っぱずれなトコは耳に障る。「面白ければ、それでいい」というスタンスでヘンなところは嘲笑(わら)って読み流してる。 しかし、物語のくせに「これこそ事実だ」的な断言口調や、根拠レスで歴史家をけちょんけちょんに貶すのはいかがなものかと―― 心配するのは余計なお世話? 【問】 歴史の専門家は、「ローマ人の物語」をどのように評価しているのか? あるいは黙殺しているのか? それとも目の敵にしているのかね? ここでいう専門家とは、学術的な権威の裏付けを持つ人で、一般に教授とか呼ばれている人々。図書館のレファレンスサービスで調べてもらったのだが、クリティカルな回答を得られたので紹介する。カンタンに言うと、【答】 黙って言わせときゃいい気になって!「聞き捨

    「ローマ人の物語」を歴史の専門家はどう評価しているのか?
    cider_kondo
    cider_kondo 2022/07/11
    https://discovery.ucl.ac.uk/id/eprint/10048157/17/White_10048157_thesis_redacted_amended.pdf カエサルの同時代人であるウァロ先生は銘柄や品種にそれほど触れてないが、100年後では様相は異なり、過渡期だったのは4種類の銘柄ワインが提文字数
  • 世界史をやり直したら、自分の時代錯誤に気づいた

    まず、自分の歴史認識が古いこと。 学校で習った「歴史」は、石油危機と東西冷戦のあたりで終わっている。そして当然、私が生きているあいだも歴史は書かれていく。 しかし、私はそれらを「ニュース」として知る。 メディアやネットを通じた出来事として接する。大きな事件や紛争の報道には、そこに至る経緯も解説されるが、それだけだ。私は少し心を痛め、赤十字に募金し、次のニュースを見る。ニュースは上書きされ、私の関心や、日との関わりが遠いほど速やかに流されてゆく。 糧問題は解決した? 例えば、飢餓人口について。 どこかで「飢えに苦しむ人は大幅に減少している」と耳にしたことがあった。糧問題や貧困は大きく解消に向かっているという主張だったと記憶している。 しかし、サハラ以南ではここ半世紀一貫して増加していることを知った(下図参照)。また、世界全体から見ても、2014年を境に増加に転じていることが分かった(※

    世界史をやり直したら、自分の時代錯誤に気づいた
    cider_kondo
    cider_kondo 2021/08/29
    コールド・ウォーが終わったら次はバイオレント・ピース(激烈平和)でむしろ地域紛争は増えるって佐藤大輔がS誌あたり書いてたのを読んだのはまだ20世紀の頃だったな。たぶん『主砲射撃準備よし!』にも再録されてたはず
  • 健康ディストピア

    「健康は義務です、不健康は犯罪です」とアナウンスしながらドローンが行き交い、市民の健康係数を測定する。サーモグラフィで自動測定し、体温が高いと「風邪で休まないのは犯罪です」と勧告する。 健康係数が良いなら、健常者と判定され、執行対象にはならない。 しかし、規定値を下回ると、潜在的な不健康者として判定され、様々な制限が加えられる。事制限や運動が義務化され、タバコ等の嗜好品が限定されたり、保険金の割引オプションが利かなくなる。 さらに悪くなると、当人の健康状態が周囲への悪影響を及ぼす潜在感染犯と判断され、執行対象となる。マスクと手袋の着用が強制され、守らない場合は捕縛され、厚生施設でセラピーが施される…… ……という物語を思い浮かべたのは、御田寺圭さんの「コロナ後の世界」に忍び寄る「健康・健全ディストピア」を読んだから。コロナ禍の先、社会保障や医療リソースが制限され、健康であることがルール化

    健康ディストピア
    cider_kondo
    cider_kondo 2020/04/21
    19世紀ドイツ思想界の豊饒&広大感は凄まじく、共産主義みたいな大物からシュタイナー教育やエコロジー、それにもちろん優生学みたいなものまで何でもあって、その土壌からうっかりナチズムも結実した。世の中難しい
  • ミスが全くない仕事を目標にすると、ミスが報告されなくなる『測りすぎ』

    たとえば天下りマネージャーがやってきて、今度のプロジェクトでバグを撲滅すると言い出す。 そのため、バグを出したプログラマやベンダーはペナルティを課すと宣言する。そして、バグ管理簿を毎週チェックし始める。 すると、期待通りバグは出てこなくなる。代わりに「インシデント管理簿」が作成され、そこで不具合の解析や改修調整をするようになる。「バグ管理簿」に記載されるのは、ドキュメントの誤字脱字など無害なものになる。天下りの馬鹿マネージャーに出て行ってもらうまで。 天下りマネージャーが馬鹿なのは、なぜバグを管理するかを理解していないからだ。 なぜバグを管理するかというと、テストが想定通り進んでいて、品質を担保されているか測るためだ。沢山テストされてるならバグは出やすいし、熟知しているプログラマならバグは出にくい(反対に、テスト項目は消化しているのに、バグが出ないと、テストの品質を疑ってみる)。バグの出具

    ミスが全くない仕事を目標にすると、ミスが報告されなくなる『測りすぎ』
    cider_kondo
    cider_kondo 2019/09/25
    『日本の大学』はどうなんだろ。自分のような門外漢ですら、コストを下げるために職員減らした結果、教官の負担が増した話は聞こえて来る。『一発で見えるだろう』は、誤った指標値を使いたがる思い込みに見える
  • 驚くほど上達する「みんなで推敲」体験事例の発表会まとめ

    「文章の推敲は、自分一人でやるものだ」と思いこんでいないだろうか? しかし、グループウェアなどのコラボレーションツールを使って「みんなで推敲」すると、文章は、驚くほどよくなる。 「Googleドキュメントを文章推敲プラットフォームとして使う」という、誰でも思いつきそうな、しごく単純なアイデアだが、実際にやってみると、驚くほどの威力があり、新鮮な感動を覚える。これは、集合知を使った文章推敲のイノベーションだ。 この「みんなで推敲」の体験談の発表会が8月30日に開催された。具体的に、どのように「みんなで推敲」が行われ、文章が改良されていくのか、そのプロセスが分かる、たいへん興味深い内容だったので、この記事でまとめる。 今回発表を行ったのは、ふろむださん主催の[面白文章力クラブ]のメンバーの3人。このクラブは、ライティングの初心者からプロまでが集まって「みんなで推敲」を行う場所だ。 わたし自身、

    驚くほど上達する「みんなで推敲」体験事例の発表会まとめ
    cider_kondo
    cider_kondo 2019/09/02
    ふろむださんてとってもかしこいんだなあと思いました(小並感/授業でやればってブコメあるけど、これ、ある程度大人な個人と人間関係(つか人間関係のなさ)が必須要件。最低でも大学生ぐらいからでないと危険杉だ
  • 運が通れば道徳は引っ込む『不道徳的倫理学講義』

    たとえば、高速道路に「たまたま」飛び出した人をはねて死なせてしまったとする。ドライバーは「注意して運転していれば避けられたはず」として、過失の度合いが図られる。 あるいは、通勤中、「たまたま」通り魔に襲われたとする。「過失」を無理やり探すなら、その道を選んでしまったことになるのだろうか。 この「たまたま」が厄介だ。 それまでの善行・悪行に関係なく、「たまたま」悪い目に遭う。悪い結果になっていないのは、偶然に過ぎないのに、結果が「たまたま」悪ければ、悪い原因が遡及される。 理想の世界では、善人には報酬が、悪人には報復が与えられる。災厄に見舞われた人には埋め合わせとする幸福が与えられる。 だが、現実は違う。善悪と幸不幸が同期しない。現実は、むしろ運に左右される。そのため、善悪を語る場から、運を排除しようとする。 宗教や神話は、「神意」や「天命」と呼ばれる神の意志=運命を取り入れ、前世や来世の因

    運が通れば道徳は引っ込む『不道徳的倫理学講義』
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    cider_kondo 2019/08/26
    ヨブ記は「神の意思は人間には測れない深遠なもの(なので義人にも容赦なく不幸をふっかける)。公正世界仮説なぞ戯言」が結論だけど、正直、「正気にては救済ならず。信仰はシグルイなり」と言ってるようなものだよな
  • 『眼の誕生』はスゴ本

    「世界の見えかたが一変する」という意味で、目からウロコの一冊。 先入観やバイアスは、明示されるまで気づかない場合が多い。例示されて初めてハッとする。それまで、「見えている」と思っていたものが、実は「見て」すらいなかったり、「見える=存在する」という思い込みの強さに囚われていたことに気づく。 見えていない ≠ 存在しない わたしの「世界の見えかた」を変えたのが、爆撃機の話だ。第二次大戦中、敵機の攻撃から生還した爆撃機を調査した統計学者が、ある提言をした。それは、「被弾箇所(赤ドット)ではなく、空白部分を強化すべし」というのである。なぜなら、空白箇所に被弾した機は、そもそも生還しなかったからという理屈だ。 「生存バイアス」とも呼ばれるこの理屈、ポイントは「見えている」という時点で何らかの選択がされていることだ。したがって、「むしろ見えていないものは何か?」という観点から「それはなぜか?」を考え

    『眼の誕生』はスゴ本
    cider_kondo
    cider_kondo 2019/01/23
    これだけ読むと、眼を獲得した捕食者が大半の種を滅ぼし尽くし、少数の生き残りから適応放散が起きたシナリオに見える。それはそれで「多様な生物が(一度壊滅したあとで)一斉に誕生した」に思えるけどどうなんだろ?
  • おっさんから若者に贈る「経験を買う」6冊: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    結論から言うと、経験は買える。 適切なタイミングで適切なと出会うことで、しなくてもいい経験や、身につけておくべき知恵を”買う”ことができる。今「おっさん」である私から、20年前の「若者」だった私に、いい仕事をする上で読んで欲しいを選んだ。 20年前は、炎上プロジェクトに飛び降りて、鎮火しつつ撤退する「しんがり」役を仰せつかっていた。負けることは決まっているが、死なないように生きることばかり考えていた。将来に漠然とした不安を感じていたものの、とにかく目の前の障壁をクリアすることが先決だと思っていた。 今はかなり違う。 身をもって得た経験や教訓はあるが、代償は大きく、もっと効率よく結果につなげることができたはず。この「効率」とは要するに時間だ。莫大な時を費やして手に入れた経験は確かに得難いが、そんなことをしなくても積むことはできた。どうすれば可能か、今なら分かる。 それはを読むことだ。

    おっさんから若者に贈る「経験を買う」6冊: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
    cider_kondo
    cider_kondo 2018/07/09
    id:mutinomuti<単に水で満杯になっただけの壺なら、水が零れるのを厭わなければ岩は入れられますよね。『一番大事な物』を後から発見して、それまで持ってた物を捨ててでも手に入れる、というのも一つの定式でしょう。
  • 『世界システム論講義』はスゴ本

    「なぜ世界がこうなっているのか?」への、説得力ある議論が展開される。薄いのに濃いスゴ。 世界史やっててゾクゾクするのは、うすうす感じていたアイディアが、明確な議論として成立しており、さらにそこから歴史を再物語る観点を引き出したとき。「こんなことを考えるの私ぐらいだろう」と思って黙ってた仮説が、実は支配的な歴史観をひっくり返す鍵であることを知った瞬間、知的興奮はMAXになる。 たとえば、「先進国(developed)」と「途上国(developing)」という語に、ずっと違和感があった。「後進国」は差別的だからやめましょうという圧力よりも、この用語そのものが孕む欺瞞を感じていた。 なぜなら、この語の背景として、近代化・工業化が進むというプロセスがあるから。なんなら、進化のメタファーを使ってもいい。産業構造が一次から高次に転換するとか、封建社会から資主義社会に"進化"するといった欧米の経済

    『世界システム論講義』はスゴ本
    cider_kondo
    cider_kondo 2016/02/10
    id:hundret<川上さんの書いた世界システム論の本とか何それ超読みたい!(でもすごい分厚そう…
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