牛丼を題材にTPPの影響を考える 野田佳彦首相がTPPの交渉への参加を政治決断したことで、TPPが現実味を帯びてきた。TPPとは環太平洋経済協定(ほかにもいくつかの訳語がある)の略称であり、加盟国間でのすべての農業品・工業品の関税を撤廃するとともに、政府調達、金融などの分野での非関税障壁の撤廃も目指している。TPP不参加の場合、日本の製造業が致命的な競争不利を被るという危機感がある一方で、TPP参加の場合には、日本の農業が壊滅的打撃を受けるという別の危機感がある。現時点では交渉への参加表明をしただけで、参加するかどうかはこれからの話である。いずれにせよ、TPPは日本の多くの産業に大きな変革を強いることになる。 今回のコラムではその全体像ではなく、外食産業を対象に、「牛肉メニューがどう影響を受けるか?」という局所的な分野に絞って、TPPが経済に与える影響について、具体的に分析することにしよう