昔、誰かは歌った。部屋に残ったコーヒーとタバコの香りに女は淡い予感を感じていると。 愛する嫁の口から香ってくるニンニクの香りは、ワタクシ、案外キライではないが、家のババ臭い香りには嫌悪感しか感じていない。 アンニョイな朝。BBA(姑)が、朝のお勤めで仏壇の前に座ると、線香の香りがプ~ンと仏間の隣のリビングに漂ってくる。 ご先祖様を供養することは大切だと思う。毎日、仏壇に手を合わせて身も心も清いキモチで生きることは、人としてあるべき姿だと思う。 が、ワタクシのように感謝のキモチを持ち合わせない人間にとっては、この香りが苦痛で仕方ない。せっかく淹れたコーヒーとパンの香りに混じって鼻が曲がりそうになる。 といっても、マスオで肩身の狭いワタクシは、BBAに「無煙のいい線香がありますよ♪」などと意見すらできない立場にある。 仕方ないので、毎日、線香の香りに恨みを乗せつつ、コッソリ窓を開けて青雲を仰ぎ