仕事を終えて職場の階段を降りると大手町のビル街が見えてくる。僕はその光景が好きでよく(むやみに)登ったり降りたりたりしている。晴れの日も雨の日も。早朝も朝も昼時も夕方も帰るときにも。 (…うどんだ…) と僕は思った。何者かが僕にうどんのイメージを送ってきた。送り込んできた感じがあった。そのとき僕はくーちゃんのことを思っていたから、くーちゃんがうどんのシルエットをどこか空の彼方(彼方…? 意外に近いのではないか?)からキャッチして僕に伝えようとしてくれたに違いなかった。 (…僕だけでは…ないらしい…) くーちゃんのやさしいきもちさんが僕にそう告げていた。 1Fまで降りると(僕の木曜日のデスクは6Fにある)(大手町のこんなところにはあるはずのない)うどん屋を探した。 * 前にもこんなことがあった。16年前の秋のことだ。僕はなぜか無性にコーラが飲みたくなり、そのころ住んでいた練馬区高松のマンショ