【編集委員・浅井文和】途上国を含む世界の人々の健康を脅かす最も大きな要因は1990年当時は栄養失調による子どもの低体重だったのが、2010年は高血圧に変わったことが東京大や世界保健機関(WHO)などの研究でわかった。今後は途上国でも肥満防止など生活習慣病対策が課題になる。 日米英豪の大学とWHOが中心になり、世界187カ国を対象に死因データなどを使って調べた。生活習慣や環境汚染などのリスク因子で、各国の人々の死亡が早まったり健康を損ねたりして失われる年数を計算し、病気による社会的な負担を比べた。 90年段階で最大のリスク因子だった小児期の低体重は10年には8位になり、病気による負担の程度は90年に比べて61%低下した。一方、10年の上位は(1)高血圧(2)喫煙(3)アルコール摂取。高血圧による負担は90年に比べて27%増えた。10年で6位の肥満は90年に比べて負担の程度が82%も急増し