毎日新聞火曜日夕刊コラム欄の第六回です。 最近「新しい職業」ということをよく考える。 僕は十八年前に、当時はまだ社会的に広く認知されていなかった「経営コンサルタント」という「新しい職業」につき、十二年前に、当時はまだ世界中の人々があまり関心を示していなかった「シリコンバレー」という「新しい場所」に移住した。 九年半前に独立して、経営者へのアドバイスを専門とするコンサルティング会社をシリコンバレーで作り、六年前に「ベンチャーキャピタル」を創設した。そして二年前に、日本に新しく生まれた文化とも言うべき「ネット・ベンチャー」の経営に参画し、今はそれらの「新しい職業」を掛け持ちしながら、「ネット空間」という「新しい場所」に住むように暮らしている。 僕が歩んできた「新しい職業」の周囲では、間違いなく日々「新しい知」が生まれ、その知は輝いていた。仕事環境には若さが溢れ自由があり楽しかった。しかし「昔か