東京大学教授 合原一幸 今日は、数学と医学のちょっと意外な関係の話をしたいと思います。実は最近、最先端の数学を使うことによって、病気の治療法や薬の概念が大きく変わる可能性が出てきています。 この様な発想自体は、中国では2000年以上前からあります。未来の未に病気の病と書いて、未病と呼びます。 未病とは、まだ病気の症状は現れていないけれども、そのまま治療せずに放っておくと症状が現れて、病気になってしまう状態を表す言葉です。紀元前221年の中国の古い医学書で使われた言葉だと言われています。 このように未病の概念自体は古いものですが、これまでは、サイエンスとしての明確な定義はありませんでした。これに対して、私たちは最近、この未病を数学的に定義しました。そして、見掛け上は一見健康に見えるけれども、もうすぐ病気になるこの未病の状態を発見して、超早期に治療を開始する未病の医学のための方法を開発しました