本研究では、安定同位体分析という手法により、過去から現在までのヒグマの食性の変化の歴史を明らかにしました 。ヒグマの大規模な食性の変化が生じた時期が、ちょうど明治以降の開発が本格化した時期と一致していたことが非常に興味深い点です 。人の開発に伴う同様の食性の変化は、北太平洋の沖合を餌場とするハワイミズナギドリでも報告されています。本研究を足がかりとして、人の活動が食物網に与えた影響に関する研究がより一層発展することが期待されます。 概要 ヒグマ( Ursus arctos )は、北半球の広範囲に分布する大型の雑食動物です(図)。雑食動物の中でも、ヒグマの食性は「日和見的な雑食性」と呼ばれており、食物資源の可給性に応じて食性を大きく変化させるという特徴があります。彼らが利用する食物資源はさまざまで、植物の茎葉や果実のほか、昆虫、哺乳類やサケなど、その地域や季節に利用できるさまざまな資源を利用
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