日本の農業、特にコメつくりは国際競争力のない弱い部分であり、保護しないとつぶれる仕事である―。私は「何となく感じられている国民の合意」に対して、強い疑問を持つと同時に、試してみることもしないで「弱い」と断定することへの反発心を以前から持っていました。 「日本のコメつくりに競争力がないのは、経営者の資質や責任ではなく、環境(コメ政策)によって起きた問題である」。1973年、カリフォルニア州(以下加州)で1年間コメつくりの実習を経験した結果、そう解釈するのが正しいと思い至りました。 52年、福島県郡山市のコメ農家に長男として生まれ、周囲の期待通り「農業後継者」となりました。21歳のとき、国際農友会(現在の国際農業者交流協会)の海外派遣事業で加州に行かせてもらいました。 3000ヘクタールのコメ農場では、大型ブルドーザーで田んぼを耕し、飛行機で種を播く。大規模なコメ生産農場でも、飛行機での作業は
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