「6次産業化(6次化)で利益を出すのは難しい」--。農業者を取材してよく聞く言葉だ。6次化とは、農業者が単独、または他の事業者と連携し、第1次産業を第2次、第3次産業に発展させ、農産物の付加価値を高めようという手法だ。なぜ利益を出しにくいのか。6次化は農業の延長ではない。完全な商業であり、サービス業だ。ものづくりに専念してきた農業者にとって、別次元の事業である。当然、軌道に乗せるには時間もお金もかかる。 それでも、たゆまぬ努力で課題を克服した農業者が最近になって現れてきた。酪農経営をするある法人がジェラートショップを開店。季節性のある商品ゆえ集客に波があったが、店舗を二つに増やしたことで、認知度が高まり販売量が伸び、4年たって黒字化に至った。逆のケースもある。自社が飼育する肉牛を提供するレストランを開いた農業者は、集客こそ順調だったが、常に人を配置し、店を開けておくため生産活動に負担が生じ