ある死刑囚が、死刑執行を告げられてから実際に処刑されるまでの様子を録音されたテープが公開されていた。 現代では、死刑の執行を本人に告げるのは、執行当日の午前9時ごろで、処刑は10時には執行される。死刑囚からすれば、処刑の1時間前にいきなり通達があるということになる。 現在はこれが慣例となっているが昔からそうだったわけではなく、かつては2、3日前に本人に告げることが普通であった。 執行日を聞かされた死刑囚は、残された時間で家族に会わせてもらったり、他の受刑者と語り合ったりして、自分の最後の時を迎えていた。 昭和30年(1955年)、大阪拘置所の所長である玉井策郎氏は、ある死刑囚が死刑の執行を告げられてから、最後の時を迎えるまでの53時間をひそかにテープに録音していた。 元々、拘置所の職員や教誨師(きょうかいし = 死刑執行の際、お経をあげたり祈りをささげたりして死刑囚の心を安息に導く役目の人