今日の降水確率、50パーセント。涼子は傘を持ってこないだろうから、わたしが持って行かなくちゃ。 やっぱり涼子は傘を持ってきていなかった。「だってともえが持ってきてくれるもんねー!」と言いながら抱きついてくる涼子の背中越しにクラスメイトの男の子と目が合って、わたしはこそばゆいような気持ちといっしょに、優越感も感じていた。涼子は中学生になってからメキメキかわいくなって、学校でも 1,2を争う美少女になってしまった。だから、さっきみたいにじゃれ合っていると、ちょっと色気づいてきた男子からの羨望のまなざしが飛んでくる。それを受けとめるたびに、わたしは心の中で「涼子とこんなふうにできるのはわたしだけだ」という特権意識を密かに味わっていた。 「もー、なんで一本しか持って来ないのよ。」 「だって二本も持ってくるのめんどくさいでしょ!ってゆーか自分で持ってきなさいよね!」 校門を出たとたんに降り出した雨が