くそじじい。わたしは胸の中で言い、それから口に出して「くそじじい」と繰り返した。くそじじいはきっと元気に島を一周でもしているんだろう。センセイのことなんか忘れて宿の小さな露天風呂にでも入ろう。せっかく島に来たんだから。センセイがいようがいまいが、わたしは旅行を楽しむんだから。今までだってずっと一人だったんだから。一人で酒を飲み一人で酔っぱらい一人で愉しんできたんだから。 (川上弘美『センセイの鞄』新潮文庫、2007) おはようございます。仕事のことなんか忘れて小さな物語にでも入り込もう。せっかくの休日なんだから。仕事が残っていようがいまいが、わたしは読書を愉しむんだから。今までだってずっとそうしてきたんだから。一人で珈琲を飲み一人で読み耽り一人で愉しんできたんだから。とはいえ、 二人で本を読み二人で愉しむのもいいものです。 それが異性であればなおのこと。小学5年生の国語の教科書に載っている