汚職事件の逆風の中でも強気の姿勢を見せていた国際サッカー連盟(FIFA)のブラッター会長が2日、一転して辞意を表明した。実業家でもあったアベランジェ前会長(ブラジル)の右腕として重用され、1998年に「後継者」として会長に就任して以来、FIFAに君臨してきたが、ついに外圧に屈した形だ。欧州に基盤を持たない2人は、商業化路線に舵を切って得た巨額財源を欧州以外の地域に振り向けることで、権力を維持してきた。いわば非欧州王朝が、終焉(しゆうえん)する。(榊輝朗) ブラッター氏が初当選した会長選の際、対抗馬は欧州サッカー連盟(UEFA)のヨハンソン会長(スウェーデン)だった。97年に引退を表明したアベランジェ氏は、独自財源を持ち、FIFA内での発言力も強いUEFAに「世界のサッカーを牛耳られては困る」と考え、南米出身の役員や元選手らに後継の話を持ちかけたが、色よい返事をもらえなかった。 そこで苦肉の