旧庄内藩主・酒井家から1986年に盗まれ、文化庁が今年1月に所在を公表した国重要文化財の日本刀「備州長船住元重(びしゅうおさふねじゅうもとしげ)」が、山形県鶴岡市の致道博物館で開催される企画展で9月1日から展示されることが決まった。約30年ぶりの「里帰り」となる。 「元重」は14世紀に備州長船(岡山県)派の名工、初代元重が作った約70センチの刀。銘にある「見返」は、切られた人が振り返ってからバタリと倒れるほどの切れ味に由来する。酒井家17代当主・忠明さん(故人)の蔵から同じく国重文の短刀「粟田口吉光(あわたぐちよしみつ)」とともに盗まれた。 窃盗犯はその後つかまり、吉光は99年に致道博物館が買い戻したが、転売された元重は長らく所在不明だった。昨年所在が分かったが、約1億円という値がついたため、酒井家は買い戻しを断念。大阪のコレクターが酒井家の承諾を得て買い取り、文化庁が確認・登録した。民法