大聖武東博本巻頭 大聖武(おおじょうむ)は、奈良時代に書写された賢愚経の一本。紙本墨書。 聖武天皇宸筆の伝承があり、また1行12字前後の堂々とした大字で書写されていることからの名称。その書風は、龍門造像記(特に始平公造像記)との類似が指摘され、またその影響は奈良時代後期の写経に認められるとする意見もある。料紙はマユミを原料とする真弓紙(檀紙)で、混入する粒子を骨粉に見立て荼毘紙と呼ばれている。もと17巻か。 東大寺戒壇院に伝来したが、遅くとも室町時代後期には流出し切断された。聖武天皇宸筆の伝承と風格ある字形から珍重され、手鑑の冒頭に押されることが定式化されるなど人気の高い古写経であるが、結果として度重なる切断を招き数行程度の遺品が多い。 東大寺蔵巻十五、前田育徳会蔵残巻3巻、白鶴美術館蔵残巻2巻、東京国立博物館蔵残巻1巻がそれぞれ国宝。その他、無数の断簡が残る。 断簡については、大和切、骨