児童の虐待や孤立を行政データの分析から見つけ出す――。政府は児童の見守りに関する新たな構想を、2023年4月に発足するこども家庭庁で実現させる考えだ。仕組みづくりに向け、デジタル庁が主導して7つの地方自治体が2022年7月から順次、実証事業をスタートさせる。 しかし現時点の想定のまま国や自治体が行政データを分析するシステムやサービスを構築しても、将来無駄になったり、児童相談の現場に無用の混乱を招いたりする恐れがある。実際に政府構想を実現させるためのデータ活用方法について、一部の専門家や地方自治体の関係者から「個人情報保護の国際的なルールに抵触する」「データによる差別を助長する」と、問題を指摘する声が出始めている。 児童の見守りに、納税記録や家族の情報も活用 一部専門家らが問題を指摘するのは、前述の実証事業「こどもに関する各種データの連携による支援実証事業」である。相談や通報だけでは発見しに