それは、シルバーウィークのある日のこと。私は神戸は元町の栄町通りをぶらぶらと散歩していた。 栄町通りといえば、三宮のセンター街、元町の中華街のごく近くにあるにもかかわらず、落ち着いたカフェやお洒落な雑貨店がならぶエリアだ。手作りアクセサリーの店、古着屋、何に使うかわからないインテリア雑貨の店などが集中してこのエリアにある。そんな雑貨屋の入り口に、ふと置いてある小さな苗木が目に付いた。 モロッカンミント、と札にはある。ミントといえば、おかし作りやデザート、お茶に使う人も多いだろうが、私はモヒートが好きだ。日本ではあまりおいしいモヒートに出会ったことがないのだが、ヨーロッパで初めてそれを飲んだ時、感動してハマったのだ。 それはプラハでのこと。薄暗く肌寒い印象を持っていた私は、観光しだすとその認識が間違っていたことを知る。その夏、その日は特に暑くなり、冷房装置が不十分なその国はちょっと居心地が悪