ブックマーク / blog.livedoor.jp/route408 (10)

  • ダイヤモンド構造のペーパーモデル : 有機化学美術館・分館

    2月9 ダイヤモンド構造のペーパーモデル 最近、埼玉大学の古川俊輔博士が立ち上げた「ARchemisT」というプロジェクトに参加させてもらっています。名前どおり、化学とアートの融合を目指すというもので、近くキックオフイベントなども計画しています。何しろ集まっているメンバーが面白く、大学の化学者やアーティスト、サイエンスバーの経営者などが顔を揃えて毎日(ネット経由で)ワイワイとやっております。いくつかコラボの話なども早速来ているとのことで、新しい展開もありそうです。 活動資金のためのクラウドファンディングも行なっており、3Dプリンタを用いたオリジナル分子模型などリターンも充実しておりますので、ご覧いただければ幸いです。 と、アート方面からの話をいろいろ聞いているうち、筆者も触発されてひとつ考えてみました。ダイヤモンドの結晶構造というのは、化学構造の中でも最も美しいもののひとつと思いますが、立

    ダイヤモンド構造のペーパーモデル : 有機化学美術館・分館
  • 折り紙分子模型その2 : 有機化学美術館・分館

    2月17 折り紙分子模型その2 前回の記事で、ベンゼン環などsp2炭素を基礎とした折り紙分子模型を紹介しました。しかし有機化合物全般を作るとなると、正四面体構造の炭素、つまりsp3炭素を作れなければ話になりません。ということで、今回はその折り方を考えてみました。 今までにもこうした折り紙はもちろんあったのですが、結合角などに制限があり、ダイヤモンドなど特定の構造しか作れないという難点がありました。今回の作品は、そうした問題を解消したもので、今までにないものになったんではと思っております。 基的な発想は、これも以前考案したダイヤモンド結晶構造モデルから来ています。中心角が109.5°のV字型を2枚組み合わせれば、正四面体構造になるというアイディアです。 用紙としては、正方形2枚から原子パーツ1個、1:2の長方形から結合のパーツを作っています。 原子になるパーツは、正方形2枚から作ります。4

    折り紙分子模型その2 : 有機化学美術館・分館
  • 折り紙分子模型 : 有機化学美術館・分館

    1月1 折り紙分子模型 さとうです。みなさまあけましておめでとうございます。 今年もいろいろ活動していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 さて去年から、こちらのブログではいくつか分子模型のペーパークラフトなどを公開しております。で、筆者の趣味でもある折り紙でも何かできないかなとは以前から考えておりました。もちろん過去にもいくつか折り紙の分子モデルは発表されており、単行もすでに存在します。 ただしこれらは、折るのにかなり手間がかかったり、角度などに制約があるものがほとんどでした。たとえば藤修三氏のダイヤモンド結晶は素晴らしい作品ですが、炭素同士の角度が固定されており、ねじれたもの、ひずんだものは全く作れないという難点があります。 ということで、ある程度柔軟にいろいろな角度の結合を作り出せるものを、できるだけ簡単な折り方で……ということを考えていたのですが、ある程度これでいけ

    折り紙分子模型 : 有機化学美術館・分館
  • カーボンナノベルト合成成功! : 有機化学美術館・分館

    4月15 カーボンナノベルト合成成功! カテゴリ:有機化学炭素材料 先日来、ある化合物の合成成功がテレビのニュースなどで大きく取り上げられています。これは、有機合成関連では珍しいことでしょう。何度かブログでも取り上げさせていただいております、名古屋大学の伊丹健一郎教授・瀬川泰知特任准教授らのグループによる「カーボンナノベルト」の合成がそれです(論文)。 この論文は、「Nature」と並んで科学雑誌の最高峰である「Science」に掲載されました。すなわち有機化学者や化学分野の研究者のみにとどまらず、広く科学者全体が知るべき大きなインパクトのある成果だと認められたということになります。ということで今回は、何がそんなに凄いのかという話を書いてみます。 今回作り出されたカーボンナノベルトは、下のような化合物です。六角形のベンゼン環が12個連結し、環の形を成しています。 カーボンナノベルト。斜め

    カーボンナノベルト合成成功! : 有機化学美術館・分館
  • 赤はなぜ色褪せるのか

    9月6 赤はなぜ色褪せるのか カテゴリ:有機化学構造 街を歩いていると、色あせた古い標識を見かけることがあります。 この標識は来鮮やかな赤色の矢印なのですが、ご覧の通りかなり褪色して薄いピンクのような色合いになっています。これに対し、国道のおにぎりマークや縁取りの青はまだ鮮やかさを保っています。このタイプの標識は、1995年から設置されるようになったものですので、20年ほどで赤だけがずいぶん色褪せてしまっているということになります。 このように、赤色が他の色より褪色しやすいというのは、ちょくちょくみかける現象です。ひどくなると下の写真のように、肝心なところがきれいに抜けて読めなくなったりします。大事なことは赤で書きたくなりますが、時の流れを考えるとあまり得策でないことがわかります。 さて、なぜ赤色はさめてしまいやすいのでしょうか?これは偶然ではなく、それなりの理由があります。まず赤い塗料

    赤はなぜ色褪せるのか
  • アルギン酸で「つまめる水」を作る : 有機化学美術館・分館

    8月2 アルギン酸で「つまめる水」を作る カテゴリ:雑記 ”夏休みの自由研究に!手でつまめる水「Ooho」を作ろう!”という記事を見かけました。下の動画にある通り、ただの水がまるでゼリーかスライムのように、手で持ってつまみ上げられる状態になるというものです。 作り方は上記リンク先に詳しく載っています通り、アルギン酸ナトリウムの水溶液と、塩化カルシウムまたは乳酸カルシウムの水溶液を別個作っておき、前者の溶液を後者の中に落とすだけで、簡単に作れるそうです。確かにこれは楽しそうですね。どちらも品添加物などとして使われるほど安全なものですし、アマゾンなどでも手頃な価格で入手可能(アルギン酸ナトリウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム)ですので、確かに夏休みの自由研究によさそうです。 創案者は、単におもちゃとしてではなく、ペットボトルなどを必要としない、新しい水の運搬手段としてこれを提案しているよう

    アルギン酸で「つまめる水」を作る : 有機化学美術館・分館
  • 粉塵爆発のこと : 有機化学美術館・分館

    6月30 粉塵爆発のこと 27日、台湾でイベント中に起きた爆発事故は、多くの怪我人を出す大規模なものであったようです。イベントは、コーンスターチに各種の色を着けた粉を客席に向けて噴射する「カラーパーティー」と呼ばれるもので、この粉が爆発を起こしたものと見られています(動画)。 こうした、着色した粉を用いるイベントは、「Color run」などの名でブームとなっており、世界各国で行われているようです。日でも毎月のように開催され、多くの参加者が詰めかけています。 チリで行われたカラー・ラン しかし、なぜこの台湾のイベントでのみ爆発が起きたのか、どこの台所にもあるコーンスターチがなぜ爆発炎上したか、おそらくいろいろな条件が重なってのことだったと思われます。 粉塵爆発は、文字通り粉末状の物品が爆発することです。爆発しうる粉末の種類はいろいろで、小麦粉や砂糖、木やアルミニウム、コピー機のトナーなど

    粉塵爆発のこと : 有機化学美術館・分館
  • 折り紙準結晶 : 有機化学美術館・分館

    11月11 折り紙準結晶 さて明日12日は、科学技術館にて一席ぶってまいります。テーマはカーボンナノチューブ関連。まあ筆者の講演はともかく、このシアターの星空は大変な迫力ですので、御用とお急ぎでない方はご来館いただければ幸いです。例により、折り紙のナノチューブ模型など性懲りもなく持ち込む予定です。 というわけで、古くからの読者の方はご存知の通り、筆者の趣味は折り紙です。この趣味の人間は、形あるものなら何でも紙で折ってみようとするものです。で、筆者もふと思いつきました。今年ノーベル賞を受賞した、準結晶をなんとか折り紙で作れないものか。 非周期的タイル張り・ペンローズタイル この図形、角度が36°・144°の菱形と、72°・108°の菱形から成ります。このパーツをひとつひとつ折り紙で作って組んでいけばいいわけですが、実は辺の長さを揃えようとすると結構面倒であることに気づきました。三角関数とかを

    折り紙準結晶 : 有機化学美術館・分館
  • 折り紙準結晶2 : 有機化学美術館・分館

    2月26 折り紙準結晶2 昨年のノーベル化学賞に輝いた準結晶については、すでに何度か当サイトでも触れております。で、一度「折り紙準結晶」と題して、付箋紙で作るペンローズタイルの折り方を掲載しました。 付箋紙で作ったペンローズタイル ただそちらでも書きました通り、これは実は準結晶ではなく、その2次元版というべきペンローズタイルですので、「折り紙準結晶」というタイトルは若干誇大広告ではあります。ということで、格的な3次元の準結晶格子を作れないものか、いろいろ調べておりました。とはいえ普通の結晶格子ですら把握は難しいのに、非周期的な準結晶ともなると、なかなか筆者の脳みその手に余るところとなってきます。 とりあえずいろいろネットを漁ってみますと、準結晶研究の第一人者である蔡 安邦・東北大教授による報告資料(PDFファイル、準結晶の構造については11ページから)、そして多面体ファンの間では知られた

    折り紙準結晶2 : 有機化学美術館・分館
  • 「ヒ素生物」の衝撃 : 有機化学美術館・分館

    12月4 「ヒ素生物」の衝撃 昨日は、NASAから「宇宙生物学上の発見に関する会見」が行われるということで大いに盛り上がりました。筆者も「ついにどこかで宇宙生命がとっつかまったか」と期待したのですが、実際はカリフォルニアの塩湖で見つかった新種の細菌の話でした。なんだよ期待させやがってと一瞬思ったんですが、よく聞けばやはり凄い話で、この細菌はなんと毒性元素として知られるヒ素を体内に取り込み、DNAに組み込んで生活しているというのです。これはまあ宇宙人発見とはいわないものの、どう見ても世紀の大発見としか言いようがありません。さらにいろいろ聞くにつけ、この細菌は実に「ななななんじゃこりゃ」的な代物であるようです(論文はこちら)。 問題の細菌、GFAJ-1。 GFAJ-1と名付けられたこの細菌(こんなカメラの型番みたいなのではなく、もっと素敵な名前を考えてやってほしいですが)が見つかったのはカリフ

    「ヒ素生物」の衝撃 : 有機化学美術館・分館
  • 1