山本弘『神は沈黙せず』 ※ネタバレはありますが、本質的なものではないと考えます ※『アイの物語』の感想はこちら 大学合宿での夜の怪談のこと 大学1年のころにサヨ学生たちで合宿をやったことがあった。 夜、怪談になった。唯物論者の集団が怪談をやるというのもアレだが。 怪談というのは、たいていが「出処」が不明である。 いつ、だれが、どこで体験した話かはほとんどわからない。「昔むかしあるところに、おじいさんとおばあさんが…」というおとぎ話とそう選ぶところはない。 まれに「俺の友人の知り合いの話なんだけどね…」などというふうに「身近な」体験として語られることはあるが、互換可能な曖昧なものだ。 そのときの怪談も、ほとんどそうした「出処不明」なものに終始した。 ところが、一人だけまったく風変わりな話をする人がいた。 アメリカのある州の名前と年代をあげて(具体的には忘れた)、突然イスがとびまわる例やものす