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ブックマーク / cruel.org (3)

  • 感情なき宇宙的必然の中で:スタニスワフ・レムを読む

    (季刊『InterCommunication』2006年夏号) 山形浩生 要約: レムの小説観は非常に狭苦しくとんちんかんであり、おそらくそれはかれの社会性の欠如からきている。レムの作品に一貫するのは人間嫌いと社会の不在であり、それはかれのぶっとんだ小説おもしろさの源泉であると同時に一つの限界でもある。 しばらく前にぼくは、レムの SF 評論のすさまじい偏狭ぶりを指摘したことがある。 一読して驚かされるのは、レムのSF論の異様なまでの堅苦しさと偏狭さ だ。レムにとって正しいSFの方向性は一つ。種としての人類や社会に科学 や知識や進化がどう影響を与えるか、厳密かつ論理的に検討すること。それ 以外は上っ面だけのまやかしでしかない――。 えー、そんな勝手な基準を勝手に作られましてもねえ。(中略)レムのSF 論は、こうしたピント外れな議論だらけで一般性のかけらもない。[8] この意見はいまも変わ

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    crea555 2020/01/08
  • CUT 1999/01-バングラデシュの山椒魚たち。

    1998 年 12 月 10 日。ぼくはバングラデシュのダッカのホテルでこれを書いている。ちょうど昼過ぎのイスラームのお祈りの時間。近くのモスクから、クルアーンの朗唱が聞こえてくる。窓から見下ろすと、そこにはリキシャにオートリキシャ、そして車と人の大洪水。車はのべつまくなしにクラクションを鳴らして、整備の悪いエンジンがすさまじい音をたてている。 ちょっと外に出てみよう。そこでは2ストエンジンの排気が視界をさえぎるほどの濃さで、ちょっと空き地があれば、そこには竹編みの壁と板でつくったバラックが建ち並び、排泄物のにおいがたちこめ、牛とヤギとニワトリと、皮膚病の犬と、栄養状態の悪そうな男たちに女たち、そしてそこらじゅう子供、子供、子供だらけ。その子供がさらに赤ん坊をかついでいたりする。線路づたいにうろついてみると、並んだバラックからそういうガキが出てきてたかってくるので、2、3 発けとばして追い

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    crea555 2017/01/14
  • ハリ・セルダン (Hari Seldon)

    過去の多くの心理歴史学者 (およびそのきわめて原始的な先祖分野の経済学者) と同じく、ハリ・セルダンももともとは数学者であり、心理歴史学の考案はむしろ余技といっていいだろう。ヘリコンのタバコ栽培農家に生まれ、早い時期から天才的な数学能力を発揮。若くしてヘリコン大学数学助教授となったが、23 歳のときにトランターの学会で、心理歴史学の基礎となる論文 (12011) を発表。その後トランターのストリーリング大学で数学教授となり、心理歴史学を完成させるとともに (12035)、その応用を開始した。 心理歴史学は、人間精神を数学的に厳密な形で記述することで歴史を確率論的に記述する学問であり、セルダン関数の定式化をもってその体系化の完成とするのが通例である。こうした試みはそれまでにも見られたものの、ミクロな現象の解析に終始しており、またミクロ現象特有のノイズのため必ずしも十分な成果を挙げてはいなかっ

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    crea555 2013/02/01
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