この本は何か? 日本で発刊された、現在においても最も行き届いた「外来語辞典」とひとまず言うことはできよう。 しかし、たったそれだけなら「読書猿する」ことはない。 ここから先は、『荒川・外来語辞典』自身が語ってくれるにまかせるべきだろう。 「本辞典編集にあたっての基本方針を、自序からいくぶん敷衍して述べてみたい。 おう、どんとこい! 1 本辞典は著者の知識がありあまって人に教えたいから書いたものではない。著者自身がわからないために、たずねまわって研究してできたものである。……(略)。 ボクシングの試合なのに、いきなり回し蹴りを喰らったような衝撃である。 これとは正反対に、知識が足りなくてしょうがないのに「人に教えたいから書いてしまう」連中が、「学もないのに道を説く」連中が、いかに多いことか。 2 昨今、時々、外来語排斥の声を聞く。しかるに日本民族全体が外来者であり、日本語は外来要素の混交によ