今日の朝日新聞のグローブ版に、興味深いコラムが掲載されていたので、ご紹介。コラムを書いているのは、ヤコブ・ラブキンさんというモントリオール大学の教授さん。名前から想像できる通り、ユダヤ人ですね。旧ソ連のレニングラード(今はサンクトペテルブルグ)生まれで、73年にカナダに移住した、という方です。パレスチナの地にユダヤ人のホームランド(祖国)建設を目指す「シオニズム」は、聖地エルサレム(シオン)に由来するが、これは宗教イデオロギーではなく、政治的イデオロギーとして19世紀後半にヨーロッパで生まれた。戒律を守り、律法に従う人々の宗教的共同体だったユダヤ人社会にヨーロッパのナショナリズムを当てはめたものだ。独自の言語(ヘブライ語)を持つ国民、民族として「ユダヤ人」を位置づけ、彼ら自身の国民国家を持つべきだという新しい考え方だった。世俗化した東欧系ユダヤ人は、シオニズムによって、民族的アイデンティテ