友 吉村萬壱 高校時代に、友達と一緒に弁論大会を開き、私も登壇した。 私は「友情について」という講演をした。全く柄にもない演目だったが、これにはちゃんと種本があった。西尾幹二の『ニーチェとの対話』(講談社現代新書)がそれである。 その本の中に、『ツァラトゥストラ』の中からの次のような引用がある。 「君は君の友の前にいるときに、衣服を脱いでいたいと思うのか。ありのままの君を相手に与えることが、友の名誉になるとでもいうのか。だが友はそういう君を、まっぴら御免だと言うだろう!」 この本は、当時のまま私の手元にある。このエッセイを書くに当たって今回第一章「友情について」を読み返してみたが、四十年前からこの本がいかに自分の友情観に影響を与え続けてきたかが分かって私は驚いた。この弁論大会で「声が大きかったで賞」を貰ったと記憶しているが、その時私が大きな声で主張したのは、ありのままの自分を見せることが真
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