「今までと違った手法で新しい作品を書きたい」 終戦直後の沖縄を舞台にした『ナツコ 沖縄密貿易の女王』(文芸春秋)で、大宅壮一ノンフィクション賞を受けたばかり。6月の授賞式で語った通り、新作は、私立高校で約35年前、男子生徒が同級生を刺殺した事件と遺族のその後を追った。少年事件の被害者の精神面に踏み込んだ問題作だ。 息子を亡くした衝撃で母は、事件後数年間の記憶がない。妹は「兄の代わりに死ねば良かった」とリストカットを繰り返す。一方、加害者は少年院を出所後、“更生”し、弁護士になっていた――。遺族を襲う生き地獄の毎日と驚きの事実が記される。 1997年の神戸児童連続殺傷事件の類似ケースとして、月刊誌で取材したのが始まりだった。「当時は加害者を主に扱い、家族には少し話を聞いただけ。遺族のことが気になった」と振り返る。 その後、被害者の母が営む喫茶店に4年通った。だが、「事件後のことを覚えてない」
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