<増税などを早期に行って日本の財政を健全化すべきという主張には、政府債務の将来世代負担論=老年世代の食い逃げ論がある。今回は、その問題を考察する> 政界や経済論壇では、増税の是非をめぐる議論が再び活発化している。これまでの増税必要論の多くは、日本財政の破綻可能性を根拠としていた。筆者は本コラム「健全財政という危険な観念」(2017年6月27日付)において、そのような批判は基本的に的外れであることを論じた。 日本の政府財政が本当に破綻に向かっているのであれば、そのことが国債市場に反映されて、リスク・プレミアムの拡大による国債金利の上昇が生じているはずである。しかし現実には、1990年前後のバブル崩壊以降の持続的な「財政悪化」にもかかわらず、日本国債の金利は傾向的に低下し続けてきた。これは、少なくとも市場関係者たちの大多数は、日本の財政破綻というストーリーをまったく信じていないことを意味してい
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