アメリカ映画なのにアメリカは蚊帳の外である。ブラックパンサーはアフリカの秘境で高度な科学技術をもつ架空の王国ワカンダの王であり、守護戦士であって、シリーズ第2作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の物語の大半がワカンダ王国の領内で展開され、アメリカ合衆国はほんの申し訳程度にしか登場しない。そしてもうひとつ、今回はワカンダ王国の対立軸として、海底王国タロカンという勢力が出てきて、こちらは16世紀に「陽の沈まぬ帝国」を打ち建てたスペインの征服によって地上を追われたマヤ文明の末裔という設定となっている。タロカン戦士たちの話す言語は本物のマヤ語なのだそうで、キャストは、メキシコ国内に残存するマヤ人の末裔である語学コーチのもとで特訓したとのことである。 いくらなんでもこれでアメリカ映画と言えるのか。もちろんディズニー/マーベル2022年の全社的な勝負作なのだから、ハリウッド映画そのものと言っ