2019年10月、台風襲来の直前に国会議員の質問内容の通告が遅れ、多くの官僚が帰宅できなくなったことで、「若手官僚の疲弊・離職者増」の問題が注目を集めた。筆者はこの問題を考えるに際し、合わせて国会の構造問題に思いを致すべきだと指摘する。 節目とも言うべき第200回国会が閉じられた。しかし、「桜を見る会」や野党議員の質問通告をめぐる官僚やその周辺の関係者を巻き込んだ問題も起こる一方、国家国民の重要課題は脇に置かれた感が強い。こうした状況は、官僚機構の疲弊問題と関連づけた場合、どのように理解すべきだろうか。以下ではまず、官僚機構の統治機構内部での役割の変化について簡単に論じ、続いて国会の構造問題について論じてみたい。実は、この2つの問題は、密接に関連した政治システム全体の課題である。 政官共棲から官邸への従属へ 日本の行政官僚制は、従来、その組織的な自律性や政策への影響力の面で先進国の中でも突