第5回 バベルの塔・そのI 2007年8月27日 社会 コメント: トラックバック (0) (小田中直樹の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」第4回より続く) 前回話題にしたドーデ「最後の授業」を、知ってる読者の皆さんはおもいだしてほしい。 この小説を読んでもっとも印象的な場面のひとつは、アメル先生が「民族が奴隷になっても、自分の国語を守ってさえいれば、牢屋のかぎを手中にしているようなものです。ですからフランス語を忘れず、しっかりと守りましょう」と語るところだろう。 アメル先生のお言葉を要約すれば、さしずめ国語は牢屋のカギだ!! 民族の文化の魂は国語にある!! という感じか? しかし、こりゃほとんど国語フェティシズム(いわゆる「フェチ」)である。 【1】 実際、フランス人はフランス語にものすごい情熱と精力をかたむけてきた。すでに16世紀、フランス語を純化することを任務とする機関(アカデミー