真壁昭夫(信州大学教授) 【第53回】 2008年11月11日 GM救済実現でも拭い切れない “自動車業界Xデー”の可能性 足許で、自動車産業に関する経済ニュースが増えている。米国の「BIG3」の経営状況悪化懸念や、トヨタ自動車の2009年3月期業績見通しの大幅下方修正など、有力自動車会社が実体経済や株式市場に大きな影響を与えるようなニュースが、毎日のように流れている。 このような背景にある要因は、言うまでもなく米国金融危機に端を発する世界的な傾向後退により、「自動車」に対する需要が落ち込んでいることだ。 しかし、それに加えて、実は「主要先進国の人口構成の変化などによる社会構造の変化」という根本的な要因があることも見逃せない。 自動車産業は裾野の広い産業であり、20世紀を通して最も重要な産業分野の1つだった。欧州で礎を形成した自動車産業は、20世紀初頭に米国に渡り、大量生産によるコ