放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が総務省や自民党を批判した意見書に対し、政府、自民から反論が相次いだ9日、放送業界には困惑が広がり、識者からは「まさに権力のおごりだ」と批判する声も上がった。 「放送法は表現の自由のためにあるのか、それとも行政によるかせなのか」―。自民党が今後も放送局幹部を呼んで説明を聴く可能性を示し、ある放送関係者は、放送法の解釈をめぐる対立の深刻化を嘆いた。 立教大の 砂川浩慶 (すなかわ・ひろよし) 准教授(メディア論)によれば、放送法が放送による表現の自由を保護しているとの解釈は研究者の定説だという。「自民の行為は表現の自由を侵しかねない。政権与党が個別の番組で放送局幹部を呼びつけるなんてことは、民主主義が成熟した国ではあり得ない」と非難する。 政治家が個別の番組に異議を申し立てる事例は増えている。放送局関係者はこう言ってため息をついた。「選挙が