伝統は時に枷となる。それは『龍が如く』シリーズも例外ではない。長らくの間、自身のルーツに縛られ続けてきた過去がある。そうした経緯を経て私達のもとに登場した『龍が如く8』は、シリーズを強固な枷から解き放ち、新天地へ飛ばすことに成功した作品である。 ※本稿には、『龍が如く8』に関するネタバレが部分的に含まれている。核心的な言及はないものの、留意して読み進めてほしい。 長きにわたる因縁にケジメをつける 来年で初作発売から20周年を迎える『龍が如く』シリーズ。その原点は「Vシネマ」にあったと筆者は考える。俗に言う「良いヤクザ」である桐生一馬が、「悪いヤクザたち」を、男気をもって打倒していく、任侠活劇を題材としたアクションアドベンチャーシリーズだ。大衆向け作品でありながら、「Vシネマ」というアンダーグラウンドなモチーフを採用したことで、日本文化の露悪と、悪という概念そのものが持つシリアスでポップな魅
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