男性Aが、養女Bを強姦し、わいせつな行為をしたとして2011年に有罪判決が確定したものの、後にBが虚偽の証言をしたと申し出て再審において無罪となったえん罪事件。 確定審での判断 Aは、当初から一貫して、強制わいせつ、強姦の事実について否認した。それにもかかわらず、確定審はいずれの審級においてもAを有罪とした。 (1)第一審(2009年5月15日判決) 被告人が強制わいせつや強姦をしたというBの捜査段階および公判廷での供述について、①Bには養父である被告人から強姦被害等を受けたとの虚偽告訴をする特段の事情がないこと、②被害を打ち明けるまでに数年を要していたり、実母に問い詰められるまでは尻や胸を触られた旨打ち明けるに留まっていたなどの事情も存するが、当時のBの年齢や境遇からすれば、被害を打ち明けるまでの経過に何ら不自然・不合理な点はないこと、③虚偽被害のでっち上げを行う動機がなく信用できる兄で