罪がないのに罰せられる。人権の観点でいえば、最悪ともいえる扱いが冤罪(えんざい)だ。なぜ、こんな理不尽なことが起こってしまうのか…。繰り返されてはならない失態が絶えない原因に、あえて冷静に向き合い、再発を防ぐ失敗学として、2年の歳月を費やして一冊の本にまとめたのが『冤罪学』(日本評論社)だ。 著者の西愛礼氏は元裁判官の弁護士。「冤罪事件を批判だけで終わらせず、そこから学ぶことによって再発を防止することがなにより重要」と、過去を丹念に振り返りつつ、心理学など多様な視点も盛り込み、冤罪の発生メカニズムを解明。起こさないために知っておくべきことを416ページに網羅した。本に凝縮した思いを聞いた。 無実を証明する困難さVS有罪を確定させたい捜査側 冤罪は「罪がないのに疑われ、または罰せられること」と定義されています。法治国家でなぜこのようなひどいことが起こってしまうのでしょうか。 西弁護士:端的に